2023 Fiscal Year Annual Research Report
表面・界面科学的手法によるゴム状物質の粘着発現機構に関する研究
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21H01806
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
扇澤 敏明 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (80262294)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粘着 / ゴム / メニスカス / タッキファイヤ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の本欄で記述したAFMでは、探針に取り付けたプローブが10μm前後の粒径を有する固体微粒子であり、それをゴム表面に接触させた時に形成されるメニスカスの形状を精度良く観察することは不可能であった。その代わりに、高性能デジタルマイクロスコープで観察可能なサイズにまで固体微粒子を大きくすることで、その表面に形成されるゴムのメニスカスのリアルタイム形状観察と微粒子―ゴム間に働く力の同時計測を行う装置を試作した。このマイクロプローブ剥離試験機は、微粒子プローブを先端に付けたロッドをロードセルに取り付け、ゴム表面に接触させた後、引きはがす過程において生じる力を測定しながら同時にデジタルマイクロスコープで形状を観察するものである。このプローブとして、ある程度観察が可能な最小に近い粒子径174μmのシリカ微粒子を用いた。ブタジエンゴム表面に微粒子を5μm押し込んでから、引き離す過程の観察を行った。ゴムの厚み(20、160μm)、そして微粒子をゴムに接触させる時間(0、5、30min)によって、剥離挙動が大きく異なることがわかった。薄い試料において最大荷重が大きくなったが、剥離伸びが小さいことがわかった。剥離の強度・挙動にはメニスカスの形成が寄与していることがわかった。 また、粘着付与樹脂(タッキファイヤ)をブタジエンゴムに混合し、そこに粒径10μmのシリカを接触させたが、純ゴムよりもタッキファイヤ量の増加にともなってメニスカスの上昇が抑えられていた。しかし、タッキファイヤをある程度加えたゴムの方が、メニスカスが小さくなったにもかかわらず粘着力の増加がみられた。AFM等の観察から、粘着力の増加のためにはある程度プローブを押し込むことが重要であることがわかった。これらのことから、自発的なメニスカス形成が粘着力に関係はしているが、最重要因子でないことが推察された。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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