2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring general nature of interfacial melting on ice crystals: in situ approach by optical microscopy
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21H01824
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
村田 憲一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60646272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐崎 元 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (60261509)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 氷の界面融解 / 擬似液体層 / 光学顕微鏡その場観察 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,主に①正立型レーザー共焦点微分干渉顕微鏡(LCM-DIM)システムの構築とLCM-DIMによる一分子段差の検出,および②全反射照明を組み込んだ氷成長観察チャンバー(正立用)の開発に取り組んだ.以下にその概要を記す.
①正立型LCM-DIMの構築後,標準試料として石膏とシリコンカーバイトの結晶表面を観察し,両サンプルにおいて一分子段差(それぞれ,0.76nm,0.5nm)の観察に成功した.当初の計画通り,既存のLCM-DIM(オリンパス社製)と同等の高さ分解能を達成しつつ,時間分解能を上回る性能を得られた.加えて,Zeiss社の独自技術である円偏光微分干渉顕微鏡(C-DIC)の共焦点化にも取り組んだ.通常の微分干渉顕微鏡は,段差コントラストに異方性を持ち,特定方向のコントラストが落ちることが知られている.従来のLCM-DIMにおいても同様の弱点があり,コントラストの弱い単位ステップのダイナミクスをその場観察する上で弊害となり得る.一方,C-DICでは円偏光を用いることで,コントラストの異方性を任意の方向に制御することが可能である.今回の研究により,C-DICの共焦点化に成功し,Åオーダーの高さ分解能を維持しつつコントラストの異方性を任意に調整することが可能となった.
②倒立型顕微鏡用にプロトタイプとして作成していた全反射照明系氷成長観察チャンバーを改良し,正立型LCM-DIMで使用できるようにした.これにより,次年度にシングルフォトン検出器を導入次第,直ちに微粒子からのエバネッセント光の散乱を観察できる段階に入った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は,正立型レーザー共焦点微分干渉顕微鏡(LCM-DIM)システムの構築とLCM-DIMによる一分子段差の検出,および全反射照明を組み込んだ氷成長観察チャンバー(正立用)の開発には至ったものの,研究費の不足から購入予定であったシングルフォトン検出器を導入することができず,当初目標としていた氷表面に置かれた微粒子からのエバネッセント光の散乱を検出するまでには至らなかったことが理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の遅れを取り戻すため,令和4年度前半に(7月中を目途),シングルフォトン検出器を導入し,残りの検出側の光学系の構築を早急に行う.全ての観察システムが完成した後,テスト微粒子としてポリスチレン微粒子を選択し,氷上に置かれた際のエバネッセント光の散乱の検出とLCMーDIMによる氷一分子段差のその場観察を同時に行う.
令和4年度後半は,実際にいくつかの微粒子(金,シリカ,PMMA等を想定)を用いて,氷-微粒子間の界面ポテンシャルの計測と微粒子により誘起される擬似液体層の直接観察を目指す.特に,微粒子の違いによる擬似液体層の有無と膜厚の温度変化, およびそれらと界面ポテンシャルとの関係に焦点を当てる.また,計画が順調に進んだ際は,微粒子により誘起される擬似液体層を介した氷の結晶成長メカニズムについても検討を始める.
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Research Products
(4 results)