2021 Fiscal Year Annual Research Report
高効率太陽電池の創製に向けたシリコン系クラスレートの新規結晶育成法の確立
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21H01825
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森戸 春彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80463800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 暁彦 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (20451635)
今村 健太郎 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60591302)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シリコンクラスレート / 単結晶 / フラックス成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で着目しているシリコン(Si)単元素クラスレートとは、炭素フラーレンのようにSi 原子がカゴ状に結合した物質で、太陽電池や熱電変換材料などとして応用が期待されている。しかし、本物質に関しては、粉末状の試料しか合成の報告がなく、応用に不可欠なバルク結晶の育成手法が確立されていなかった。そこで本研究では、Si単元素クラスレートのバルク結晶の実現を目指し、新しい結晶育成手法を開発することを目的とした。 これまでに本研究グループでは、Si単元素クラスレートの前駆体となるNaを内包したSiクラスレート(Na-Siクラスレート)の新しい結晶育成技術を開発した。本研究では、このNa-Siクラスレートのバルク結晶を用いて、Si単元素クラスレートの合成を試みる。そこで初年度は、Na-Siクラスレートを高品質かつ効率的に作製する技術を確立することに努めた。本手法では、フラックス成分が得られる結晶の形態や大きさに大きく影響を及ぼすため、フラックスの効果をより詳細に調べた。これまでは、Snをフラックスとして用いていたが、本研究では、インジウム(In)やアンチモン(Sb)などの元素をフラックスとして用いることで、フラックスの効果を明らかにした。特に、原料となるSiのフラックス中への溶解度が重要であることを明らかにし、今後の結晶育成指針を構築しつつある。 本研究手法により、数ミリメートルサイズの単結晶が得られるようになったため、この単結晶からNaを引き抜く手法の開発に取り組んだ。その結果、電気化学的な手法を用いることでNaを引く抜くことに成功した。現状ではNaを完全に引き抜いてはいないが、今後は実験条件を最適化することで、Naを完全に引き抜くことに挑戦する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Si単元素クラスレートの前駆体となるNa-Siクラスレートの結晶育成手法の確立を目指した。当初の予定通り、金属フラックスがNa-Siクラスレートの結晶成長に及ぼす影響を調べて、本プロセスにおける結晶成長機構をより詳細に明らかにすることができた。また、Na-SiクラスレートからNaを引き抜く技術の開発にも成功し、本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
Na-Siクラスラートの結晶成長機構が明らかになったため、結晶育成条件を最適化することでより大きな単結晶の育成に取り組む。また、その際には、チョクラルスキー法やトップシード法など、大型単結晶の育成に適した手法を検討する。 また、横浜国立大学の伊藤准教授と共同で、得られたNa-Siクラスレートの単結晶を種結晶として、Na-SiおよびSi単元素クラスレートの単結晶作製に取り組む。 また、本研究で開発したフラックス法を用いて、新規クラスレートの合成にも挑戦する。
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Research Products
(6 results)