2022 Fiscal Year Annual Research Report
Separation of surface and bulk recombination velocities of carriers in SrTiO3 for optimization of photocatalytic performance
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21H01828
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
加藤 正史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潘 振華 中央大学, 理工学部, 助教 (90870551)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | SrTiO3 / キャリア / 再結合 / 表面 / 結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に公表したSrTiO3単結晶におけるキャリア再結合の観測結果を基に、2022年度においては斜め研磨をしたSrTiO3単結晶試料を新たに作製し、表面再結合速度の精密測定を試みた。その結果、より高い精度で表面再結合速度を見積もることができ、さらにその値の面方位の依存性はそれほど大きくないことが明らかになった。さらに副次的効果として、表面再結合速度の見積もり精度が上がった結果、結晶内部の現象であるバルク再結合速度も高い精度で見積もることが可能となった。その結果、試料間でバルク再結合速度は顕著な相違を見せており、結晶成長中に混入するわずかな結晶欠陥の制御が光触媒の設計において重要であることが示唆された。 また当初計画していた表面再結合速度への水溶液界面・電界印加効果については、実験した結果顕著な電界印加依存性が確認できなかったため、中止している。一方で、計画に含めていた助触媒効果については、CoOx助触媒をSrTiO3表面に形成した試料を作製し、助触媒が表面再結合速度に与える影響を観測中である。また計画には含めていなかった研究成果として、SrTiO3結晶中の転位がキャリア再結合に与える影響についても実験結果が得られており、論文化できる見込みである。さらにはSrTiO3以外の酸化物光触媒材料についてもSrTiO3に対して用いた手法により表面・バルク再結合の見積もりを開始している。 以上のように SrTiO3光触媒のエネルギー変換効率を向上させる材料設計に必要な、表面と内部の再結合を切り分けて定量化するという目標に対して、着実に成果が得られてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SrTiO3の表面と内部の再結合の切り分けに無事成功しており、斜め研磨された試料を用いることで高精度測定も可能とした。また、助触媒の影響を観測する実験、および水溶液界面の影響を観測する実験も実施した。水溶液界面の実験においては顕著な効果が得られなかったが、助触媒の影響は見えてきており、さらに当初計画にはなかった結果として、結晶中の転位がキャリア再結合に与える影響についても観測されている。したがって、2022年度においては期待通りの成果が得られており、2023年度につながると考えている。したがって、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、SrTiO3のキャリア再結合に対する表面再結合と内部の再結合の分離には成功しており、さらに表面再結合に対する助触媒と転位の影響について結果が得られてきている。したがって、今後はそれらの解析と論文化を行う。また今後はSrTiO3にとどまらず、他の酸化物光触媒材料の表面再結合についても観測を実施し、光触媒材料全般に波及する学術的成果を挙げることを目指す。
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Research Products
(4 results)