2021 Fiscal Year Annual Research Report
多元系エピタキシャル半導体薄膜を用いた多様な欠陥の評価と制御
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21H01833
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
反保 衆志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (20392631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 武彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (70415719)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多元系化合物 / 半導体 / 太陽電池 / CZTS |
Outline of Annual Research Achievements |
CZTS(Cu2ZnSnSe4)太陽電池の高効率化に関して、種々の処理と発光寿命の関係についての調査を行った。CZTS薄膜の処理内容としては、アルカリ添加による太陽電池の特性調査と物性の変化について調査を行った。当初は蒸着によるNaF添加についての効果についてその影響を調査指した。NaFはCZTS薄膜上に0~80nm堆積させその後の熱処理によるNaを拡散させた。太陽電池の特性としては、変換効率がNaF=30nmで最大値を示したが、その影響は主に短絡電流密度の増大によるものであった。CIGS系太陽電池では、Na添加の効果として開放電圧の増大が報告されているがその結果とは異なるものであった。また、Na添加により結晶形態大きく変化することが分かった。NaFが20nm以上堆積した場合には結晶サイズが無添加の場合の100nm以下から400nm程度に肥大化することが分かった。その、Naの添加効果については、時間分解PL(TRPL)測定による評価を行った。CZTS薄膜のTRPLの強度減衰カーブにおいては、以下の特長を有することが分かった。減衰には2成分以上様式を含んでいることが分かった。特に減衰の早い成分が2ns以下と非常に早く、これはCIGS系材料とは大きくと異なることが分かった。Na添加によるTPRLへの影響としては、複数の成分の中で遅い成分に影響していることが分かり、その遅い成分はNa添加と共に単調に増加し、その発光寿命は無添加の1.6nsから14.7nsに増大した。さらに、2ns以下の早い成分については、pn接合界面の処理により、その発光寿命を1nsから2nsへ増大させることに成功した。具体的には、表面を酸化させ異相を強制的に除去することにより界面の再結合を抑制し発光寿命を向上させることに成功しさらに、無添加にくらべ開放電圧が44mV向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で実験を担当する学生の実験が滞ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては、Naなどのアルカリ添加によりCZTS系材料の中でどのような変化が起きているのか具体的な調査が必要である。現状ではアルカリ添加により、キャリア濃度が減少していることが判明しており、その関係を手掛かりに調査を進める。CIGS系材料では、Na添加では、同時に酸素も基板から持ち込むことによるSe欠陥のOによる補償や、III族元素のI族元素サイトの置換(アンチサイト欠陥)の抑制によりキャリア濃度(正孔濃度)が増大することが知られている。その一方で、同様な系であるCZTS系でのキャリア濃度の現象について、CZTS系材料特有の影響として今後調査する必要がある。
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