2021 Fiscal Year Annual Research Report
分子・光情報変換ナノメディエータを用いた大容量多重分子センシング
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21H01844
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 裕介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20346191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 隆宏 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10722829)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノメディエータ / DNAナノマシン / 光符号化 / FRET |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多様な分子が関わる大容量情報を効率的に取得する手法の構築をめざし、生体分子情報と光情報の間に介在し、これらの変換を行なうナノメディエータを開発し、多重分子センシングにおける能力を明らかにすることを目的とする。研究課題として、1. 光DNAナノマシンを用いた分子検出に伴うDNA構造操作法の構築、2. フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)ネットワークによる光符号化法の開発、3. ナノメディエータを用いたセンシング/イメージングの評価の3つを進めていく。本年度は1と2を中心に実施し、ナノメディエータの技術基盤を整備した。 1の光DNAナノマシンに関しては、DNAの特異的反応特性に基づき入力された分子情報を特定し、構造を変化させる機構を設計した。具体的にはヘアピン形状のDNAの開裂反応を利用している。また、異なる分子入力に応答するDNA構造を実際に作製し、その機能を確認した。これはナノメディエータによる分子センシングと符号化の同時実行に不可欠な重要な機能である。 2の光符号化法に関しては、DNAナノ構造変化に基づいた複数蛍光分子間のエネルギー移動変化を用いた蛍光スペクトル変調方法を検討した。エネルギー移動のモデルに基づく動作シミュレーションを行い、励起光波長に対する蛍光スペクトルの変化などの特性を明らかにした。実証実験を行い、蛍光分子の配置を変えることにより、さまざまな光符号が得られることを確認した。また、生体分子情報の多重センシングへ蛍光スペクトル変調法を適用するために、設計方針を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに分子検出を行う光DNAナノマシンを設計、作製することができた。また、FRETネットワークによる光符号化法の機能や性能をシミュレーションと実験の両面から確認した。その過程で特に大きな問題が生じておらず、ナノメディエータ実装に不可欠な基本的機能の構築が進んでいる。生体分子情報の多重センシングに向けた設計指針の検討も開始しており、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
光DNAナノマシンや光符号化法については、今年度の成果をもとに、シミュレーションと実験によりさらなる高性能化や特性評価を行い、ナノメディエータに適切な設計指針の獲得をめざす。また、蛍光スペクトル変調による生体分子情報の多重センシングのための光DNAナノマシン群の設計を行う。この際、符号化光信号を適切に分離するためのアルゴリズムも含めて検討を進める。一方で、多重分子センシングの基礎実験を開始し、ナノメディエータの設計にフィードバックしながらデータを蓄積していく。
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