2021 Fiscal Year Annual Research Report
正負両極活物質に同一有機化合物を用いた高エネルギー密度レドックスフロー電池の実現
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21H01870
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
堤 宏守 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90211383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 祐 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (70819284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レドックスフロー電池 / フェロセン誘導体 / 電力貯蔵 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に得られた結果を以下に示す。特に活物質として考えているフェロセン誘導体の酸化還元挙動について検討を行った。 (1)各種有機電解液におけるフェロセン誘導体の酸化還元挙動の把握 今回、研究に用いているフェロセン誘導体は、別の目的で合成された化合物であり、その電気化学的な特性についての知見は、ほぼ皆無の状態であった。特にレドックスフロー電池用の活物質としての評価は全く行われていなかった。このため、今年度は、有機電解液を種々変化させた場合のこの誘導体の酸化還元挙動について検討をおこなった。 (2)(1)において得られた主な結果は、フェロセン誘導体を構成しているフェロセンに基づく酸化還元応答は、検討した電解液系において、いずれも安定した電気化学応答を示した。これに対して、誘導体を構成しているチオフェン環の酸化還元応答は不可逆になることが多く、電解液としてヘキサフルオロりん酸テトラブチルアンモニウム/ジオキソラン誘導体(3-メチルジオキソラン、4-メチルジオキソランなど)を用いたときは、その傾向が顕著であった。 (3)次に電解液としてヘキサフルオロりん酸テトラブチルアンモニウム/テトラヒドロフランを用いた場合は、可逆な酸化還元応答が見られることが明らかとなった。しかしながら、電位走査を繰り返すと応答が徐々に不可逆になっており、還元生成物が電解液中において安定で無いことが明らかとなった。 (4)以上の結果から、電解液に用いる溶媒の双極子モーメントなどが、この活物質の酸化還元挙動に大きな影響を与えていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究において活物質の候補として考えていたフェロセン誘導体の電気化学的安定性にやや問題があった。貴な電位側のフェロセンに基づく酸化還元応答は、電解質塩や溶媒にほとんど影響されずに可逆な酸化還元応答を示していたのに対して、チオフェン環由来の卑な電位側の酸化還元応答が溶媒や電解質塩により不可逆になるなど、予期していなかった現象が見られた。このため、電解質塩や溶媒の選定に時間が必要となったため、当初の研究計画よりも進捗が遅れている。この件に対する対応策については次項で述べる。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に記載したように、活物質の候補と考えていたフェロセン誘導体の電気化学的特性に課題が見られた。今後の対応については以下のような方策をとることで、当初の研究推進予定を実現できるものと考えている。 (1)フェロセン誘導体の構造の見直し チオフェン環に由来する不安定さに基づく問題点を解決するために、チオフェン環に還元時に安定化を図る官能基を導入する、あるいはチオフェン環以外の構造を用いるなどにより課題解決を目指す。 (2)電解液系の見直し 電解液に用いる電解質塩、溶媒により、酸化還元挙動が影響を受けることが明らかとなったので、その結果に基づいて、用いる電解質塩や溶媒の変更を行い、特性の改善を目指す。 (3)他の活物質の可能性を検討 これは、活物質そのものを見直すことも考えている。この場合にも、フェロセンを基本骨格として、そこにより卑な電位で酸化還元活性を示す構造を導入することを計画している。
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