2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high energy density redox flow battery using the same organic compound for both positive and negative electrode active materials
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21H01870
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
堤 宏守 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90211383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 祐 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (70819284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レドックスフロー電池 / フェロセン / 電力貯蔵 / チオフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの検討の結果、当初使用を予定していたフェロセン誘導体は、有機電解液中で電位走査を繰り返すと、特に卑な電位側で不安定化することが明らかとなった。これは主に、フェロセン誘導体に含まれるチオフェン環の還元体が不安定化し、他の化合物に変化、電極表面上に蓄積するためと考えられた。この不安定化には、チオフェン環の2位の水素原子が大きく関与していることが、各種のチオフェン誘導体を用いた電気化学測定から明らかとなった。 そこで今年度は、フェロセン誘導体の構造を見直した化合物を合成し、その有機電解液中における電気化学的安定性などについて検討した。先述したように不安定化には、チオフェン環の2位の水素の関与があると考えられたため、この水素を他の官能基などに置換し、その化合物の安定性などについて検討した。目的とする化合物は、フェロセンと対応するチオフェンカルボン酸からFriedel-Craftsアシル化反応を用いて合成、シリカゲルカラムを用いて精製することが可能であった。得られた化合物の構造は、各種分光法により確認した。このようにして得られたフェロセン誘導体の電気化学的安定性について検討したところ、電気化学応答が改善され、チオフェン環由来の電気化学応答も化学的になった。そこで、コインセル型電池を試作し、充放電試験を実施したものの、充放電については良好な結果は得られなかった。セル構造の検討が今後、必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度まで用いていたフェロセン誘導体の電気化学的不安定性を解決することを今年度は実施した。前述の通り、フェロセン誘導体の構造を変更することで、当初、使用を考えていたフェロセン誘導体の抱えていた電気化学的不安定性の問題は解決できたものの、試作セルの充放電試験は、満足な結果にはなっていないため、やや遅れている と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、(1)今年度検討したフェロセン誘導体にさらに適した電解液系を探索する、(2)このフェロセン誘導体を用いた試作セルの構造や使用する電解槽間の隔離膜(イオン交換膜)の検討を中心に実施し、試作セルの充放電試験において、当初計画した性能を示すレドックスフロー電池系の構築を目指す。
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