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2021 Fiscal Year Annual Research Report

Study on potential energy surface for gas-phase vibrational strong coupling by IR spectroscopy and cavity-QED theory

Research Project

Project/Area Number 21H01879
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

松本 剛昭  静岡大学, 理学部, 准教授 (30360051)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 安池 智一  放送大学, 教養学部, 教授 (10419856)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords振動強結合 / ポラリトン / 赤外分光 / 共振器
Outline of Annual Research Achievements

・YAGレーザーおよび赤外OPO/OPAシステムが令和3年12月に納入された.令和4年度より本格的に稼働するためにレーザーの設置と立ち上げ作業を行った.
・共振器内部で生成される振動ポラリトンの振動遷移を観測するために,赤外キャビティリングダウン分光法の適用を計画していた.しかし,当初予定していた1mmの共振器間隔では振動ポラリトンの生成は困難であることが様々な調査から見積もられたため,広い共振器間隔でのみ適用可能なリングダウン分光ではなく光音響分光法を採用することに計画変更した.そのために分光装置を開発するための資料調査を令和3年12月より開始した.
・ベンゼン巨大クラスターの構造解明を目的として,CH伸縮振動領域のフェルミトライアドを赤外吸収分光法により観測した.超音速ジェット中に生成されるクラスターサイズは,ヘリウムに希釈されたベンゼン蒸気圧の分圧を増減させることで制御した.この制御のもとで赤外スペクトルを観測し,バンド強度相関を二次元相関分光法により解析することで振動バンドの分離と帰属を行った.その結果,ベンゼン巨大クラスターはアモルファスと結晶に類似した二つの構造を有するものが生成されていることが明らかとなった.
・シラン化合物のSi-H基を受容体とする二水素結合構造を微視的に解明することを目的として,アセチレン-tert-ブチルジメチルシラン(C2H2-BDMS)のCH伸縮振動を赤外吸収分光法で観測し,量子化学計算による振動解析との照合を行った.クラスター生成条件をパラメータとしたバンド強度変化を解析することで,C2H2-BDMSには1-1,2-1,1-2の3種類が存在することがわかった.中でも1-2クラスターはC2H2の両端にBDMSが二水素結合を形成する構造であり,一つのクラスター内に二つの二水素結合をもつ初めての観測例となった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

・赤外OPO/OPAレーザーシステムの納入が令和3年12月末となり,さらに新型コロナウィルスの感染拡大によりシステム製作者である米国コロラド州のエンジニアがレーザー立ち上げのために渡日できなくなったことが原因で,レーザー試運転の前段階で作業が止まっている.
・補助金申請段階では,連続発信型量子カスケードレーザーを駆動レーザーとして,共振器内部での振動強結合を大幅に増強させる計画をしていた.ところが申請金額と交付金額に差が生じたことからカスケードレーザーの購入を断念せざるを得ない状況となり,研究計画の変更を余儀なくされた.最終的には,駆動レーザーを用いる代わりに(1)共振器間隔をmm以下に狭めるという従来の振動強結合研究に沿った方法論を採用する,(2)振動ポラリトンの赤外分光観測をキャビティリングダウン分光法ではなく光音響分光法に変更する,(3)赤外OPO/OPAシステムのパルス出力を用いて振動ポラリトンのラビ分裂を直接観測する,という軌道修正を施すこととした.特に(2)の光音響分光法への変更は,観測対象である二酸化炭素のガスセル封入圧力を増大させることができるというメリットを新たに得ることができそうであることがわかった.また(3)の観測は振動強結合の研究では必須事項とされているものの、波長変調範囲の狭い量子カスケードレーザーでは困難であるため当初の研究計画からは外されていた実験であり,いわば瓢箪から駒のごとくラビ分裂観測が可能となりそうであることがわかった.以上の軌道修正した研究計画を令和4年度に遂行することとしたい.

Strategy for Future Research Activity

・微小共振器内部に封入した二酸化炭素の赤外透過スペクトルの観測を行う.ナノ秒パルスYAGレーザーで励起された赤外OPO/OPAシステムからの4.5μm出力(二酸化炭素のCO逆対称伸縮振動に対応)を共振器軸方向に入射して透過光を検出する.共振器は4.5μmで99.99%の高反射率を有する2枚の凹面鏡から成る.共振器間隔を0.1~1.0mmで微調整できるように,2枚の凹面鏡とこれらを保持するホルダーを並進ステージに設置する.共振器内部で赤外定在波を発生させるために共振器間隔を制御するためにどの程度の精密さを要するかを,実験を通じて見積もる.高精度を必要とする場合はミラーホルダーをピエゾ駆動するなどの工夫を加える.定在波発生が確認されたのちに共振器を覆うガスセルを製作して,二酸化炭素を封入して赤外透過スペクトルを観測する.振動ポラリトンの生成による振動バンドのラビ分裂を観測することを目標とする.
・微小共振器空間での光音響赤外分光装置の開発を行う.赤外透過スペクトルの観測で用いる共振器用凹面鏡と同サイズの光学窓(直径1インチ,厚さ5mm)2枚を0.1mmの間隔で向かい合わせたガスセルを製作する.赤外OPO/OPAシステムからの4.5μm出力を,シリンドリカルレンズなどを用いてシート状に成形して2枚の光学窓の隙間から微小空間へと導入できるようにする.またセル中には赤外吸収に伴って発生する音波を検出するためのマイクロフォンを設置する.BOXCAR積分器を通じて検出信号をA/D変換してPCに取り込む.積分器や信号解析のためのLabVIEWプログラムを自作する.二酸化炭素の逆対称伸縮振動の赤外スペクトルを観測しながら2枚の光学窓の間隔を出来るだけ狭くする方法を探ることで,振動ポラリトンの赤外観測成功に結びつける.

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 2021 Other

All Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Charge resonance interaction in pyrrole dimer cation and its solvated clusters probed by IR spectroscopy2022

    • Author(s)
      Yoshiteru Matsumoto
    • Organizer
      2nd International Symposium of JSPS Core-to-core program on "Molecular Recognition Mechanism between Flexible Molecules"
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 赤外分光によるベンゼンクラスターのCH伸縮フェルミトライアドの観測2021

    • Author(s)
      石原優佑、松本剛昭、河合信之輔
    • Organizer
      第15回分子科学討論会
  • [Presentation] 水素結合の導入により増強される酸化プロピレンのキラル認識2021

    • Author(s)
      松本剛昭、櫻井研人
    • Organizer
      第15回分子科学討論会
  • [Presentation] 赤外分光によるアセチレン-アルキルシラン二水素結合クラスターの構造解明2021

    • Author(s)
      廣田亜莉朱、松本剛昭、石川春樹
    • Organizer
      第15回分子科学討論会
  • [Presentation] 赤外分光によるアセチレン-アルキルシラン二水素結合クラスターの構造解明2021

    • Author(s)
      廣田亜莉朱、松本剛昭
    • Organizer
      第52回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
  • [Remarks] Matsumoto Laboratory @ Shizuoka U.

    • URL

      https://wwp.shizuoka.ac.jp/matsumotolaboratory/

URL: 

Published: 2022-12-28  

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