2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative solar cells based on bulk photovoltaic effect of ferroelectric pi-conjugated liquid crystals
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21H01904
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
舟橋 正浩 香川大学, 創造工学部, 教授 (90262287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 忍 香川大学, 創造工学部, 教授 (60423498)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強誘電性液晶 / バルク光起電力効果 / 液晶性半導体 / フラーレン / バルクヘテロ接合 |
Outline of Annual Research Achievements |
既存の太陽電池では、p-n接合やショットキー接合界面での局所的な内部電界を利用して光キャリアの生成・輸送を行っているため、開放電圧は半導体のバンドギャップや正負両電極の仕事関数の差に制限され、開放電圧は最大でも0.8 V程度である。 本研究課題では強誘電性液晶にπ電子共役系を組み込んだ「液晶性強誘電半導体」を合成し、強誘電相におけるバルク光起電力効果を見出している。自発分極によって内部電場がバルク全体に発生し、それによって光キャリアの生成・輸送が起こり、光起電力が発生する。そのため、原理的にはバンドギャップをはるかに超える大きな起電力が発生しうる。通常の有機薄膜太陽電池と異なり、正負両電極は同じITO電極を使用でき、ポーリング電界を反転させることにより、電池の極性を反転させることもできる。強誘電性セラミックスと異なり、コーティングや印刷法によるデバイス作製にも適している。 2021年度は、双極子モーメントの大きなフルオロ基やカルボニル基を導入した液晶性強誘電半導体とフラーレン誘導体の混合物に着目した。高温側の常誘電性の液晶相において直流電圧を印加して強誘電相に冷却すると、分極した強誘電相が出現する。強誘電相では、液晶相中でフラーレン誘導体が数μm程度の大きさの微結晶を形成する。液晶/フラーレン微結晶界面で効率的に光キャリアが生成するため、近紫外-青色域での外部量子収率は70%を超える。また、強誘電相での強い内部電界により、開放電圧は1.2 Vに達する。通常の太陽電池と異なり、正負両電極に化学的に安定なITO電極を使用でき、不安定なCa電極は不要である。その他にも、強誘電相での高い誘電率が光キャリアの生成を促進している可能性、強誘電相での内部電界が電極面でのホール・電子注入障壁を低減している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フラーレンと強誘電性液晶半導体とのバルクヘテロ接合を形成することにより、1.2Vを超える開放電圧を実現できた。また、それに関する原著論文をMaterials Chemistry Frontiers誌に出版し、表紙に採択された。 その他、吸収波長を長波長域に拡張した強誘電性液晶の合成を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
吸収波長を長波長域に拡大した強誘電性液晶の合成を進める。また、側方にシアノ基を導入した大きな分極率を示す液晶材料の合成を進める。高いエネルギー変換効率を示し、電荷移動におけるエネルギーロスの低減が期待できる非フラーレン系アクセプターとの複合化も検討する。
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