2022 Fiscal Year Annual Research Report
透明センサーへの応用を目指したグラフェンへの安定なN型ドーピング技術の開発
Project/Area Number |
21H01911
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
衛 慶碩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (30709564)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐原 和大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (70392610)
沖川 侑揮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50635315)
石原 正統 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (70356450)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 温度センサー / グラフェン / ドーピング |
Outline of Annual Research Achievements |
高周波デバイスやバイオセンサーへの応用が進められるグラフェンにおいて、実用化の大きな障害の1つが、p型のみ安定で安定的なn型がないということである。本研究では、紫外光照射された光塩基発生剤(PBG)が電子を供与することを、グラフェンへのドーピング技術として利用し、長期安定的なn型材料を開発することを目的とする。具体的には、グラフェン上に均一に光塩基発生剤分子をコーティングする技術を確立し、グラフェンのキャリア濃度を精緻に制御する。これにより、自在なパターンで透明な高移動度のグラフェンpn接合デバイスを生み出し、熱起電力(ゼーベック係数)制御による高感度透明熱電対及び透明赤外センサー等の実用化を目指す。昨年までの実験で、PET基材上に製膜した単層グラフェン表面にPBGを塗布し、コンダクタンス及び熱起電力を測定しながらUV照射を行い、p型であったグラフェンが、正孔を消去しディラックポイントを通過しn型に変化することを見出した。しかしながら、PBG濃度の均一なコーティング技術が未確立のため、光照射量とキャリア濃度の関係を明らかにできておらず、電子供与過程を正確に理解するには至っていない。本年になって、PBGを特殊なポリマーと混合してグラフェン上に塗布することで均一なコーティングができる見通しが立った。また、均一コーティングされたグラフェンが、紫外線照射により、p型からn型に変化することも確認できた。得られたn型グラフェンは、熱起電力等の物性を測定し、空気中で6ヶ月以上安定である。グラフェンのpn接合にも成功した。グラフェンのpn接合は温度に対して速い応答性を示しており、将来的には市販の熱電対を代替できる可能性がある。さらに、現在の方法でドーピング速度を制御することにも成功しており、電子供与過程の研究へと進捗している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6カ月以上安定なnドープグラフェンを得た。光塩基発生剤のコーティングを最適化することで、今まで存在しなかったグラフェンのpn接合に成功した。反応速度を制御することで、グラフェンへの電子供与過程の解明を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究pn接合の温度応答についてより詳しく調べ、透明温度センサーの実証と応用の可能性に注力する。また、反応速度制御による、グラフェンへの電子供与の過程を明らかにする。
|
Research Products
(1 results)