2021 Fiscal Year Annual Research Report
A New Strategy for Substitution Reactions of Alkyl C-H Bonds Based on Parallel Catalysis
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21H01937
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大村 智通 京都大学, 工学研究科, 准教授 (00378803)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 合成化学 / 触媒的分子変換 / 炭素-水素結合活性化 / 炭素-炭素結合形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
低環境負荷・省エネルギーでの物質創成に資する次世代の機能性分子創出法の確立を目的として、アルキル基炭素-水素結合の置換反応の開発に取り組んでいる。本年度は、研究実施計画に記載した研究項目1および2を実施した。 研究項目1:「新反応様式A」の反応群創出と複素環化合物の不斉合成 アルキル基炭素-水素結合と別の炭素-水素結合間で、二つの水素原子を取り去りながら炭素-炭素結合をエナンチオ選択的に形成する「新反応様式A」について、イリジウム触媒と水素捕捉剤を用い反応群創出と複素環化合物の不斉合成に取り組んだ。(i)アリールアルキルエーテルの脱水素を伴う分子内炭素-炭素結合形成がエナンチオ選択的に進行し、高い鏡像異性体過剰率で2,3-ジヒドロベンゾフランが生成することを見出した。(ii)(2-ピロリジン-1-イル)アルキルベンゼンの脱水素を伴う分子内炭素-炭素結合形成が効率よく進行することを見出した。反応過程において、ピロリジン環はピロール環へ変換されることがわかった。(iii)1-アルキル-2-エトキシベンゼンの脱水素を伴う分子内炭素-炭素結合形成反応について、知見を蓄積した。(iv)新反応様式Aの基盤となる分子内C-H付加反応について、2-アルキニル-N-メチルアニリンおよびアリールアリルエーテルの変換反応を確立した。 研究項目2:「新反応様式B」の反応群創出とπ共役高分子合成への応用 エチルアレーンのアルキル基 C-H 結合と反応相手分子の C-H 結合間で、四つの水素原子を取り去りながら 1,2-二置換アルケンを形成する「新反応様式B」について検討を行った。(i)エチルアレーンとベンゾフランの反応において、それぞれの基質上の置換基が反応に与える影響と生成物の溶解性について知見を蓄積した。(ii)エチルアレーンとの反応に適する複素環化合物を探索し知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「新反応様式A」について、有効な触媒や反応条件に関する知見が蓄積できたことに加え、変換可能な基質構造の拡張に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
「新反応様式A」について、ベンゾ縮環生成物を与える反応群創出をさらに進める。この検討により得られる知見を基に、より難易度が高いと予想される、sp3炭素とsp3炭素で結合が形成され非ベンゾ縮環生成物を与える反応の開発に挑戦したい。また、「新反応様式B」のπ共役高分子合成への応用に向け、エチルアレーンと複素環化合物との反応開発をさらに推進し、高活性な触媒と重合に適したモノマー構造に関する基盤的知見獲得に取り組む。
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Research Products
(11 results)