2021 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Regio- and Stereocontrol Methods of C-H Transformations
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21H01941
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
國信 洋一郎 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40372685)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 位置選択性 / 立体選択性 / C-H結合変換 / 非共有結合性相互作用 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでにC(sp3)-H結合変換反応の位置選択性制御に多用されてきた配向基法の問題点を解決するとともに、これまで実現できなかったC(sp3)-H結合変換反応や不斉C(sp3)-H結合変換反応を開発するため、触媒と基質間に働く非共有結合性相互作用を利用する位置選択性制御法や立体選択性制御法を開発することを目的に研究を行った。 負電荷を有する金属触媒を利用することで、正電荷を有する官能基をもつ基質の位置選択的なC(sp3)-Hアルキル化反応の開発に成功した。この反応では、触媒と基質間での静電相互作用により、触媒が基質中の正電荷を帯びた官能基近傍のC(sp3)-H結合に接近することで、位置選択的なベンジルラジカルの形成を伴って反応が進行したものと考えている。 また、ビピリジル型配位子を有するイリジウム触媒に尿素誘導体を共存させることにより、インドール誘導体の位置選択的なC-Hボリル化反応を開発することにも成功した。本反応では、配位子上の置換基を変更するだけで反応の位置選択性をスイッチすることができた。また、尿素誘導体を添加することで、生成物の収率を大幅に向上することができた。 さらに、アミノ酸誘導体を光学活性配位子として有するパラジウム触媒を用いることにより、アルキル鎖の位置およびエナンチオ選択的なC(sp3)-Hアリール化反応の開発にも成功した。本研究は中国の研究者らとの国際共同研究として行い、共同で学術論文を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、本研究における最終目標である位置および立体選択的なC(sp3)-H結合変換反応の開発に向けて、その足掛かりとなるいくつかの研究成果を得ることができた。まず、触媒と基質間に働く非共有結合性相互作用を利用することにより、本研究の目標の一つである位置選択的なC(sp3)-H結合変換反応を実現し、学術論文として報告することができた。また、C(sp3)-H結合変換反応を実現するうえで重要な反応形式の一つと考えられる水素原子移動(HAT)反応を利用する位置選択的なC(sp3)-H結合変換反応も開発することができた。さらに、配向基を利用する方法ではあるが、位置およびエナンチオ選択的なC(sp3)-H結合変換反応も達成した。 以上の結果より、本研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2021年度に報告した配向基を利用する位置および立体選択的なC(sp3)-H結合変換反応にとどまることなく、研究代表者がこれまでに実現してきた非共有結合性相互作用を利用する位置選択的なC-H結合変換反応の知見に基づき、配向基を利用することなく位置および立体選択的なC(sp3)-H結合変換反応を実現することのできる触媒の開発を行っていく。その際に、触媒と基質間に働く超分子相互作用や静電相互作用などの非共有結合性相互作用の利用を考えている。
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