2022 Fiscal Year Annual Research Report
フィッシャー型カルベン錯体の触媒的発生を経る炭素-炭素結合生成反応の開発
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21H01944
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
垣内 史敏 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70252591)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ロジウム / キノリノラト / アミノカルベン / ビニリデン / 末端アルキン / 三成分カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
想定している課題のうち、課題2-課題4の検討を行った。 【課題2】「末端アルキンと内部アルキン、求核剤とのカップリング反応の開発」 三成分のカップリング反応を選択性良く行える触媒系を開発することができた。内部アルキンに代えてアルケンを用いる反応やアルコールを求核剤として用いる反応も合わせて検討を行ったが、この反応系では目的のカップリング反応は進行しなかった。また、三成分カップリング反応の最終検討中に除去が困難な副生成物が生成してしまったため、反応条件の再検討を行うこととした。 【課題3】「1,n-ジインと求核剤との反応による環状エナミンの合成法の開発」 分子内に2種類のアルキンを配置した1,n-ジインを用いた反応により環状ジエナミン骨格を持つ化合物の合成を合成することができた。この反応系を、両方のアルキン部位が末端アルキンであるジインへと展開することでジアミノカルベン種を発生させ、これらカルベン同士のカップリング反応を進行させることにより環状構造を持つエンジアミン類を簡便に合成する手法の開発を目指して検討を行ったが、現段階では目的の環状エンジアミンの合成には至っていない。 【課題4】「末端アルキン、1,n-ジイン、求核剤との反応によるシクロペンタジエン類合成法の開発」 発生させたアミノカルベン錯体を内部ジインで捕捉することで二環式構造を持つシクロペンタジエニルアミン類の合成法を目指して検討を行ったが、ジインのみでの反応が進行するにとどまっている。メタラシクロペンタジエン型中間体の生成を効率的に進行させるための因子の探索と、この中間体と分子間でアルキンが反応する過程を効率的に進行させるための反応条件の探索が必要となった。さらに、分子間でアルキンとの反応がを進行させるためのアルキンの構造についての知見を集積する必要があると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
除去が困難な副生成物が生じたため、それらを取り除くための精製法の変更や、副生成物が発生しないための反応条件の再検討などの想定外の問題点が生じた。これらを解決するために当該年度に実施をする予定だった内容を次年度以降に行うことにした。このことにより、実施計画がわずかであるが遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
想定している5つの課題を達成するために、生じている問題点を早急に解決をする。計画を見直し、課題2の三成分カップリング反応条件の検討をやり直す。さらに、加水分解を抑制できる条件で三成分カップリング生成物を単離できる方法の探索を追加して実施する。 課題3と課題4についての反応条件をより詳細に検討することで、目的としている反応を達成するための重要な因子を解明する。化学量論量の錯体を用いたジインとアミンの反応を検討することで、途中で生じている中間体の構造に関する知見を集め、その情報を基にして反応を達成するために必要な条件を見出す計画である。 また、課題3と課題4を行いつつ、新しく【課題5】「末端アルキン、プロパルギルエステル、求核剤との反応によるジエニルエステル類合成法の開発」についての検討も開始する。この課題では、アミノカルベンがアルキンと反応して生じるロダシクロブテンの環歪の開放を推進力に用いる新しい分子変換反応を開発する計画である。
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Research Products
(3 results)