2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Molecular Devices for Solar Fuels Generation based on Carbon Nitride Composites
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21H01952
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 健 九州大学, 理学研究院, 教授 (30235105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 幸正 九州大学, 理学研究院, 助教 (50631769)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人工光合成 / 錯体触媒 / カーボンナイトライド / 二酸化炭素還元 / 水素生成 / 酸素生成 / 反応機構 / 光エネルギー変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、最小分子量のポリオキソメタレート (POM) 型酸素発生触媒である単核コバルトポリモリブデン酸 (Co-POM-Mo) に着目し、詳細な反応機構解析によって酸素発生反応の律速段階が分子内O-O結合形成過程 (i-I2M) によって進行することを明らかにした。また、この反応がPOM骨格内にあらかじめ存在する架橋酸素原子間のO-O結合形成に基づく新たな反応機構であることを見出すことに成功した。 具体的には、Co-POM-Moと犠牲酸化剤である[Ru(III)(bpy)3]3+の混合による酸素発生反応の各種条件下における速度データをストップトフロー分光光度法を用い収集し、Eyringプロットを作成した。その結果、律速過程であると予測されるO-O結合形成過程に対する活性化エントロピーは正の値を有し(ΔS‡ = 20-40 cal K-1 mol-1)、O-O結合がCo-POM-Mo単一分子内で解離的活性化を受けて進行する分子内O-O結合過程 (i-I2M過程) であることが強く示唆された。次に、18O標識水 (49% 18O) 中において酸素発生反応を行いGC-MSによって定量された16O2、16O18Oおよび18O2の生成比がi-I2M過程の進行を支持していることが明らかとなった。さらに、DFT計算を用いた反応機構解析によって、CoIII-Odot種を経由する1電子酸化反応の後、協奏的なプロトン共役電子移動過程 (CPET過程) を経て2電子酸化体が生じ、i-I2M過程によりCoIII-OO種が形成することを計算化学的にも見出すことに成功した。 さらに、酸素生成分子性触媒を修飾したカーボンナイトライド光触媒を用いた犠牲試薬存在下での光化学的な酸素発生反応の実証にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り本年度は酸素発生分子性触媒の反応機構解明と酸素発生触媒を修飾したカーボンナイトライド光触媒の構築と光酸素発生反応の実証に成功したため、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
酸素発生触媒修飾カーボンナイトライドの光触媒特性の高効率化に取り組む。最終的には、CO2還元分子性触媒と酸素発生分子性触媒の双方を修飾したカーボンナイトライド光触媒の開発とその実証実験に取り組む。
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Research Products
(30 results)