2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation and evolution of thermo-responsive polymers designing effector-solvent-polymer three-component systems
Project/Area Number |
21H01980
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐田 和己 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80225911)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 温度応答性高分子 / 下限臨界共溶温度 / 上限臨界共溶温度 / LCST / UCST / フッ素系溶媒 / ナイロン6 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子と有機溶媒の両方に相互作用できる擬溶媒和分子(エフェクター)を高分子の溶液に添加することで、エフェクターと高分子の間の解離・会合により、高分子のコイル・グロビュール転移を操作するシステム(「エフェクター三成分系」と呼ぶ。)の高機能化・深化を目指し、様々な取り組みを行った。 特に有機溶媒中での多段階の温度応答を制御する方法やエフェクターの不可逆的化学反応によるコイル・グロビュール転移を操作などについて検討を行った。また水系における両親媒性高分子の下限臨界共溶温度(LCST)型温度応答性とエフェクター三成分系を用いた有機溶媒中での温度応答性の接続についても広範囲の検討を行った。つまりエフェクター・貧溶媒・高分子の三成分系ではなく、良溶媒・貧溶媒・高分子の三成分系を用いて、温度応答性の発現を数多くの高分子について、網羅的に調査を進めた。 その結果、水素結合性のポリ(4-ビニルフェノール)が様々な水素結合性溶媒と無極性溶媒の混合溶液でLCST型の温度応答性を発現した。さらにLCST型の温度応答性を示す溶液に第4成分として、第二級アミンを添加することで上限臨界共溶温度(UCST)型とLCST型の両方を併せ持つ二段階の温度応答の発現に成功した。つまり、多段階の温度応答性と第二級アミン応答系の構築が可能となった。またフッ素系の混合溶媒を用いることで、ナイロン6やポリ乳酸などの汎用性高分子の溶液でLCSTあるいはUCST型の温度応答性を見られることが明らかになった。良溶媒として用いたHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)の高い溶媒和力によって、高分子鎖間の強い水素結合を切断することで溶解し、加熱による脱溶媒和によりLCST型の温度応答が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フッ素系の混合溶媒を用いる手法を開発できたことで、ナイロン6やポリ乳酸などの様々な汎用性高分子の溶液における温度応答性高分子の探索が可能になったことが重要と思われる。従来の温度応答性高分子の開発は溶媒が水に限られており、水以外の溶媒での高分子の温度応答性の探索についての方法論がなかったが、これらの結果から、LCST型の温度応答性高分子の新たな分子デザインが可能となったから。
|
Strategy for Future Research Activity |
汎用性高分子を用いた高分子溶液では、溶媒の組み合わせはほぼ無限であるが、特に溶媒と高分子のユニット構造との相互作用の観点から考察を行い、網羅的な探索を行い、機械学習と組み合わせることで、LCSTあるいはUCST型の温度応答性の発現に対する要因を明らかにする。それらを用いて、多段階あるいは高次の温度応答性や刺激応答性への展開を行う。並行して、触媒基などの刺激応答性高分子の高機能化や化学反応などリンクによる化学反応応答系の拡張を目指す。
|
Research Products
(6 results)