2022 Fiscal Year Annual Research Report
高分子孤立鎖の結晶化過程in-situ AFM観察
Project/Area Number |
21H01993
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
熊木 治郎 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 教授 (00500290)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / Langmuir-Blodgett film / 結晶化挙動 / 折りたたみ鎖結晶 / 高分子孤立鎖 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、isotactic poly(methyl methacrylate)(it-PMMA)水面展開単分子膜を非晶状態でマイカに1層積層後、高湿度下で原子間力顕微鏡(AFM)でin situ観察することにより、2次元折りたたみ鎖結晶が結晶化する様子を分子鎖レベルで観察できることを報告している。本研究では、高分子量it-PMMAを低分子量のため結晶化できないit-oligo(MMA)に極く少量、孤立鎖状態で可溶化させた混合単分子膜を用いて、it-PMMA鎖が孤立鎖状態から結晶化する挙動をAFM観察することを目的にしている。 初年度は、it-PMMAを孤立鎖状態で可溶化させた混合単分子膜を積層し、高湿度下で果たして結晶化できるか、条件検討を行った。その結果、表面圧5mN/mで非晶膜をマイカに積層し、相対湿度90%以上の条件で、it-PMMAが孤立鎖状態から結晶化し、その様子を分子鎖レベルでin-situ AFM観察できることを見出した。 本年度は、主として分子量76万のit-PMMAを用いて検討を行い、(1)分子鎖は高湿度下で活発な運動を示し、結晶核が分子の末端、中心部等の任意の場所で形成され、残りの非晶鎖を巻き取るように分子全体が結晶化すること、(2)結晶化後、結晶構造をstemレベルで高倍観察して結晶の分子量を求めると、用いたit-PMMAの分子量と一致し、確かに一分子鎖が結晶化して、1分子結晶を形成していること、(3)観察前後で低倍で観察すると、スキャン範囲内外で結晶生成に差がないことから、結晶化にAFMスキャンの影響は無視できること、を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
it-PMMAを孤立鎖状態でit-oligo(MMA)単分子膜に可溶化させた混合単分子膜をマイカに積層し、高湿度下でit-PMMAが孤立鎖状態から結晶化し、その様子を分子鎖レベルでin-situ AFM観察できる条件を確立し、実際に孤立鎖の結晶化挙動を実時間観察できたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、主として分子量76万のit-PMMAを用いて、一分子鎖がどのように結晶化するか、詳細をAFMを用いて検討した。 本年度は、さらに高分子量の140万のit-PMMAを用いて、結晶化挙動を検討する。また、結晶化挙動の湿度依存性を検討し、核生成、結晶成長等の挙動を系統的に検討する。さらに、結晶化過程をstemレベルで高倍AFM観察することにも挑戦する。
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Research Products
(7 results)