2023 Fiscal Year Annual Research Report
高分子孤立鎖の結晶化過程in-situ AFM観察
Project/Area Number |
21H01993
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
熊木 治郎 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 客員教授 (00500290)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子構造・物性 / Langmuir-Blodgett膜 / 結晶化挙動 / 折りたたみ鎖結晶 / 高分子孤立鎖 / 原子間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、isotactic poly(methyl methacrylate)(it-PMMA)水面展開単分子膜を非晶状態でマイカに1層積層後、高湿度下で原子間力顕微鏡(AFM)でin situ観察することにより、2次元折りたたみ鎖結晶が結晶化する様子を分子鎖レベルで観察できることを報告している。本研究では、高分子量it-PMMAを低分子量のため結晶化できないit-oligo(MMA)に極く少量、孤立鎖状態で可溶化させた混合単分子膜を用いて、it-PMMA鎖が孤立鎖状態から結晶化する挙動をAFM観察することを目的にしている。 本年度は、主として分子量140万の高分子量it-PMMAを用いて検討を行った。その結果、(1)高分子量体では、広い湿度範囲で結晶化が進むこと、(2)結晶化過程の湿度依存性を検討し、高湿度では、一分子から一つの結晶(単分子鎖結晶)が形成するが、低湿度では、核生成速度が結晶成長速度を上回るため、一分子から複数の結晶が形成し、複数の微小な結晶が非晶鎖で連結されたネックレス型の結晶を形成すること、が分かった。さらに、分子の末端に生成した微結晶の成長を分子鎖レベルで高倍観察することに成功し、驚くべきことに結晶が非晶鎖が結合しているのとは反対側の結晶面で著しく成長することを見出した。このことは、分子鎖が2重らせんの折りたたみ鎖で形成されている結晶の内部を大きく滑って、結晶の反対側に成長していると考えないと説明が付かない。結晶成長の際に分子鎖が折り畳み鎖結晶の内部を大きく滑りながら成長するこのような挙動は、孤立鎖の結晶化挙動を直接AFM観察する本研究により、初めて明確に観察されたものである。本研究で観察しているのは、単分子膜をマイカに1層積層した2次元状態の結晶化過程であるが、バルクでの結晶化過程でも従来あまり考慮されて来なかった結晶内部での分子の滑りを考慮する必要があるものと考えられる。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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