2021 Fiscal Year Annual Research Report
単一ゲル微粒子の強靭化に基づくミクロ空間移動科学の構築
Project/Area Number |
21H01999
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鈴木 大介 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (90547019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内橋 貴之 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30326300)
中薗 和子 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30467021)
呉羽 拓真 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (60836039)
藤本 和士 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70639301)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子微粒子 / ゲル微粒子 / 高速AFM / 微粒子合成 / 微粒子機能化 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内の血管内のようなミクロ流動場において移動制御が可能な、新しい高分子ゲル微粒子の開発を目的に研究を行ってきた。従来の化学架橋により形成されたゲル微粒子は脆く、更に、化学架橋点を減らす事で柔らかく大変形するゲル微粒子を得る事ができるが、ミクロ流動場で元の状態を劣化させずに物性を損なう事無く利用する事は困難である。 そこで、環と軸から成る擬ロタキサンを架橋剤として用い、沈殿重合法によってゲル微粒子への導入を試みた。その際、重合条件を詳細に検討する事で、これまでに達成する事ができなかった、高収率でロタキサン架橋したゲル微粒子を得る手法を見出す事に成功した。更に、架橋点の仕込み量を調節する事にも成功している。得られたゲル微粒子を精製後、各種顕微鏡で観察したところ、比較的サイズ分布が狭い事が分かった(おおよそ100nm程度の粒子径)。また、動的光散乱法より、温度応答性を示す事も確認した。 その他、単一ゲル微粒子の特性を評価するために、高速AFMを活用したリアルタイム解析を実施した。温度応答性ゲル微粒子を活用し、ゲル微粒子の周囲の環境が変化する中で、単一ゲル微粒子のサイズや形状変化を捉えることに成功した。また、単一ゲル微粒子の任意の局所部位を選択し、フォースカーブを取得する事にも成功し、単一ゲル微粒子局所の物性評価が可能であり、ロタキサン架橋を施したゲル微粒子の力学特性を解明する基盤を構築する事ができた。これらのゲル微粒子を流動させるマイクロ流路を設計し、その予備検討も進める事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としている柔らかく大変形するゲル微粒子を収率よく合成する手法を見出すことができ、得られた微粒子の柔らかさの評価手法も確立しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在用いているロタキサン架橋剤は、微粒子重合中にその構造が崩壊している可能性もある。そのため、意図するようなゲル微粒子の機能を発揮する事が難しい場面に直面する可能性がある。1年目から継続して、あらたなロタキサン架橋剤の開発に取り組む。そして、その架橋剤をゲル微粒子に導入する事を試みる。高速AFMの評価に加え、散乱法を活用した構造評価を実施する。これらの実験結果に加え、MD計算を活用し、結果の妥当性を証明する。1年目は計算化学の準備にあてた。
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Research Products
(10 results)