2023 Fiscal Year Annual Research Report
Specific deformation behavior of crystalline polymer under biaxial deformation
Project/Area Number |
21H02003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小椎尾 謙 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20346935)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 結晶性高分子 / 二軸伸長 / 放射光X線回折測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子材料の一つの重要な使用形態であるフィルムは、様々な用途を有しており、重要な役割を担っている。しかしながら、フィルムの力学物性評価は、一軸伸長試験によるものがほとんどで、より実用条件に近いと位置づけられる二軸伸長変形に基づく評価はエラストマーやゲルでは行われているものの、結晶性高分子に関してはほとんどない。ひものような一次元的な分子鎖形態を有する高分子のうち屈曲性に富む結晶性高分子の場合、一軸変形下において、すぐに一方向に配向してしまう。このため、複雑な階層構造を有する結晶性高分子において、一軸変形下の結果は極めて特殊な一部分の情報に過ぎない。 本研究申請では、二軸伸長変形時の結晶性高分子膜の力学物性を評価する。さらにこれらの試験過程におけるその場解析法に基づき分子鎖凝集構造変化の特異性を解明することを目的とする。 2023年度は、結晶性高分子として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびナイロン12(Ny12)について、二軸伸長変形変形を行った際の、分子鎖凝集構造解析を放射光X線回折測定に基づき評価した。 LLDPEおよびNy12はそれぞれ直方晶および擬六方晶の結晶系を有した。二軸伸長変形過程において両試料ともに降伏し、破断ひずみは3程度であった。光学顕微鏡により形態変化を観察した結果、一軸伸長時に生じるネッキング(冷延伸)様の薄化がフィルム内で多方向に存在し、不均一な膜厚変化が生じた。高ひずみ域においては、再び全面均一な膜厚に到達した。広角X線回折測定より、LLDPEでは、低ひずみ域における直方晶から単斜晶への結晶転移後、わずかな結晶格子の膨張が起こり破断に至ったのに対し、Ny12では、低ひずみ域から結晶格子の膨張が徐々に起こり破断に至った。これは、Ny12の方が結晶の弾性率が低いこと、および、結晶化度が低いことに由来すると考えられる。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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