2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02011
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
平田 修造 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20552227)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 室温りん光 / 蓄光 / 量子化学計算 / 振動 / 無輻射失活 / 三重項励起状態 / 遷移双極子モーメント / スピン軌道相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
三重項失活速度の推定法を正しく推定するためには、材料の三重項からの輻射速度(kp)、三重項からの非放射遷移速度(knr)、および三重項からの分子間電子移動を経由した失活速度(kq)の3つを少なくとも定量的に議論できる土台の構築が必要となる。 2022年度までに提案した振動を加味したknrやkpの量子化学計算では、さまざまな構造の共役分子に対して、実験的に得られるknrやkpと良好な相関関係が得られることを報告してきた。2023年度は、この手法を応用してknrを増加する以上に選択的にkpを増強させる要素を探索した。その結果、例えばカルボニル直接置換の共役分子ではカルボニル基の面外振動がkpを大きく増強することに寄与していることを見出した。また、ドナー-π-ドナーの共役分子の対象性を崩す振動運動がknrを増加させずにkpを選択的に増強する因子となっていることを見出した。更に、動的なkpとknrの量子化学計算法を用いて赤色領域で50%以上室温りん光収率と100 ms以上のりん光寿命の両者を兼ねそろえた分子を見出すことに成功した。 更に、動的kpやknrの量子化学計算と光物性計測の温度依存性計測の結果を総合的に加味することで、熱による振動による構造分布の増加に加え、アモルファス膜中には振動による構造分布だけでなく構造のディスオーダーによる分布があり、それもkpを大きく増強させる要素となっている場合が存在することが確認された。 kpとknrを精度よく推定可能なツールを構築することに成功したことで、材料の三重項寿命を計測した場合に、kqをkpやknrと明瞭に区別して推定することができる。それゆえ、動的なkpやknrの量子化学計算ツールは、分子材料の最低三重項励起状態からの多彩な複雑な過程を個々に定量化していくための技術となることが期待される。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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