2023 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン選択的な励起子解離による革新的有機光電変換素子の創製
Project/Area Number |
21H02015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野谷 一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90633412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自発配向分極 / 分子配向 / 電荷移動型励起状態 / 有機薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、有機分子系において生成される電荷移動(CT: charge-transfer)型励起子に着目し、光電変換素子における根本的な動作原理である励起子解離過程において、その励起電子スピン状態の選択性を実証し、 “逆電子移動損失ゼロ” という革新的な光電変換素子を実現することである。 R4年度までの研究において、最低励起一重項準位と最低励起三重項準位間のエネルギー差が室温程度にまで小さい有機分子系においては、その長い励起子寿命に起因し、励起三重項準位からの励起子解離が優先的に生じることを明らかとした。この事実は、光電変換素子などに本研究で見出してきた分子系を用いることで、電荷再結合による電荷損失を極限にまで抑制できると期待できる。また、極性の高い有機薄膜中で生成した電荷は、驚くべきことに1ヶ月間以上に渡って極めて安定に保持されているという事実を見出した。R5年度においては、有機薄膜中における電荷の長時間蓄積現象に焦点を当て、有機極性薄膜界面での極性状態が保持特性におよぼす影響について検討を進め、異なる極性を有する有機薄膜を積層した構造において、電荷保持特性が著しく向上することを明らかにした(J. Mater. Chem. C, 2024,12, 1055-1060)。また有機薄膜における自発配向分極の極性制御にも取り組み、極性分子薄膜中への無極性分子のドーピングにより、ある種の有機薄膜では自発配向分極の極性が反転することを初めて見出した(Chem. Phys. Lett., 2023, 833, 140915)。これらの得られた学術的知見は、有機分子の極性によって誘起される自発配向分極の形成および積層界面の極性制御により、電荷の超安定保持が可能であることを意味し、光電変換素子の高性能化だけでなく撮像素子やメモリ素子などに応用できると期待できる。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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