2022 Fiscal Year Annual Research Report
Emergent functions of transition-metal oxides with low valence and metastable structures
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21H02026
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大友 明 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (10344722)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 薄膜電子材料 / エピタキシー / 電気化学 / 超伝導材料・素子 / トポケミカル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度に引き続き薄膜試料の合成と基礎物性の評価に取り組んだ。特に前年度に得られた層状NbO2(高温の濃硝酸を用いて層状LiNbO2薄膜からリチウムを脱離させた準安定相)の薄膜試料について,電気測定と第一原理計算によって,電子状態を明らかにした。具体的にはリチウムイオンの脱離量が異なる試料群に対して,超伝導転移や金属絶縁体転移のふるまい,ならびにホール抵抗や磁気抵抗比の温度依存性を測定し,正孔の注入量と温度を変数として電子状態を相図でまとめた。また,計算によって得られたバンド構造からNbの4d軌道に由来する最高被占軌道の電子占有率が,LiNbO2の全充填からNbO2の半充填に代わる過程で,モット絶縁体から金属・超伝導体へ,再びモット絶縁体へ転移することを解明した。同じく前年度に得られた準安定なLi1+xV2O4薄膜に対して詳細な構造解析を行い,これまでに知られていなかった結晶構造を同定することに成功した。さらに準安定な層状岩塩型構造のLiVO2およびLiNiO2の薄膜合成も達成した。得られた試料は,いずれも二次元的な電子状態を伴う絶縁体的な挙動を示すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,層状構造を有する準安定相が得られる合成条件を複数の遷移金属酸化物に対して明らかにすることができたため,おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続きエピタキシャル安定化と電気化学セル・溶液処理を用いた酸化還元反応を組み合わせて,新たな準安定相が得られる合成条件の開拓を進める。
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Research Products
(26 results)