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2021 Fiscal Year Annual Research Report

operando experiment for investigating electronic state of the next generation battery electrode by the development of synchrotron radiation x-ray spectroscopy

Research Project

Project/Area Number 21H02053
Research InstitutionKwansei Gakuin University

Principal Investigator

水木 純一郎  関西学院大学, 学長室, 教授 (90354977)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 松村 大樹  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (30425566)
石井 賢司  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光科学研究所 放射光科学研究センター, 上席研究員(定常) (40343933)
魚住 孝幸  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80295724)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords電気化学 / 放射光X線発光分光 / 電極材料 / 共鳴X線非弾性散乱 / 酸化還元反応 / アニオン
Outline of Annual Research Achievements

正極活物質開発の新機軸としてアニオンの酸化還元反応に注目し、金属とアニオンとの混成状態(共有結合状態)と酸化還元反応との相関を解明することを目的とし、2021年度は以下の3つの課題を遂行した。(1)SPring-8のBL-11XUに設置されている共鳴非弾性散乱分光装置を微小角入射X線RIXS(GI-RIXS)が可能となるように改造し、薄い試料でも十分な散乱強度が得られるようにした。(2)価電子内殻遷移のX線発光分光(VtoC-XES)は硬X線を利用して価電子帯の電子状態を調べる手法として期待されているが、アニオンの酸化還元による電子状態がVtoC-XESでどのように観測されるかは未解明であるため、ベンチマークとすべき測定として、ホールドープ型銅酸化物超伝導体のLa2-xSrxCuO4の測定を行った。ドープされたホールは主に酸素2p軌道を占有することが知られている。その結果、銅1s軌道に内殻ホールを生成後、2p軌道から銅1sホールへの電子遷移によって放出されるKbeta2,5線においてホール濃度に対して系統的な変化が観測され、銅原子あたりのホール濃度を約2%程度の精度で調べられることが明らかとなった。(3)アニオンの酸化還元を詳細に調べる上で,理論解析の高度化も重要であり、多重項相互作用を考慮した電荷移動クラスタ模型と第一原理計算との融合において並進対称性が無い系,あるいは局所的な低対称化をもたらすような環境下においても第一原理的なアプローチを可能とした。さらに、統計的手法であるベイズ推定の活用において共益勾配法を利用することで最適パラメータの効率的推定(MAP推定)を行い,さらに想定する電子描像の妥当性評価(モデル選択)に必要な周辺尤度の効率的な計算が可能となった。これらは本研究計画で予定するオペランド計測を理論解析し、定量的知見を獲得するうえで有効に働く。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度の最大の課題は、SPring-8 BL-11XUに設置されている共鳴非弾性X線散乱(RIXS)分光器の改造を完成させることであった。納期が守られ、立ち上げも順調に進んだ。また、研究テーマの物質である二次電池正極活物質となる遷移金属酸化物は、研究代表者、および分担者の石井氏がこれまでRIXS法で研究を進めてきた銅酸化物超伝導体と構造、構成元素が類似していることに気が付き、ベンチマーク的位置づけとしてすでに手元にあるホールドープ型銅酸化物超伝導体のLa2-xSrxCuO4のVtoC-XES測定を行うことができた。ホールドープはアニオンである酸素の酸化とみなすことができ、Kbeta2,5発光線においてホール濃度に対して系統的な変化が観測され、銅原子あたりのホール濃度を約2%程度の精度で調べられることが明らかとなったことは今後の正極活物質である遷移金属酸化物の酸素の酸化還元反応に伴う電子状態変化の観測に希望が持てる結果が得られた。また、スペクトルの解析に必要不可欠な理論計算の進展は、予定を上回る進捗があった。これは、第一原理計算と不純物模型を組み合わせる際に,価電子帯バンド構造を強結合模型に焼き直す「バンドマッピング」の手順を省略する方法を考案したことが大きい。さらに電子状態を決めるキーパラメータの客観的評価、妥当性評価において最大事後確率(MAP)推定を効率的に行う環境を構築できたこと、ベイズ推定で従来用いられる「レプリカ交換法」に代わり得る新しいサンプリング手法を考案できたことが予定を上回る進捗である。

Strategy for Future Research Activity

今年度(1年目)に非弾性X線散乱分光器を表面層敏感な分光器に改造を完成させたので、その立ち上げ、及び性能を確認する。その後、Li-二次電池の正極材料となる遷移金属酸化物を対象として遷移金属の1s->4p, pre-edgeである1s->3d共鳴励起を利用してエネルギー損失スペクトル、Kα, Kβ, Kβ"/Kβ2,5を観測する。今年度にベンチマークとして銅酸化物超伝導体を対象としたスペクトルは得られたので、次年度は特にKβ2,5-スペクトルから遷移金属と結合している酸素の電子状態を定量的に議論するために、Li2MO3 (M=Ru、Mn、Ni、Co)を対象としてKβ2,5-スペクトルを取得する。遷移金属の空間的広がりと酸素の酸化還元性能との関係を明らかにする。まずこれらの実験はex-situで実験を行い、実験、解析が進めば、in situ実験のためのセルの製作、予備実験を試みる。
さらにこれらの実験と並行して、第一原理的アプローチによる電子構造のモデル化を含む解析コードの開発とオペランド計測スペクトル解析環境を構築する。 低対称環境下での電子状態計算方法を確立するために、今年度に続き「不純物アンダーソン模型による遷移元素多重項相互作用、結晶場、配位子分子軌道と混成をフルに考慮した多電子状態記述」+「第一原理的アプローチによる拡張クラスタ模型に基づく配位子分子軌道の適切な記述」が可能となるように現有コードを拡張・開発を進めていく。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 広範な物質群を対象とする第一原理X線分光解析環境の構築と応用2022

    • Author(s)
      宇佐美一樹,古橋潤樹,魚住孝幸
    • Organizer
      日本物理学会第77回年次大会
  • [Presentation] X 線分光微細構造に対するベイズ推定を用いたモデル妥当性評価2022

    • Author(s)
      松岡興平,河野利句也,魚住孝幸
    • Organizer
      日本物理学会第77回年次大会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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