2021 Fiscal Year Annual Research Report
Rational design of DNA molecular machines based on supramolecular coordination chemistry
Project/Area Number |
21H02055
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹澤 悠典 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70508598)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA / 超分子化学 / 核酸化学 / 金属錯体 / 分子機械 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、配列設計によりプログラムできるDNAのナノスケール自己組織化と、超分子金属錯体の動的化学の双方に立脚し、金属錯体形成を駆動力として構造・機能のスイッチングが可能なDNA分子機械素子の創製を目的とした。本年度は主に、(1) 金属錯体形成によりペアを作る新規人工核酸塩基の開発、(2) 金属配位性修飾ピリミジン塩基を用いた金属イオン応答性DNA鎖交換反応の開発、および (3) 金属錯体形成により構造変換可能なDNA三叉路分岐モチーフの開発 を行った。 (1) 金属錯体形成によりペアを作る新規人工核酸塩基の開発:新たに2-オキソ-4-イミダゾールカルボン酸(ImOC)を核酸塩基として有する人工ヌクレオシドを合成し、DNA二重鎖中での金属錯体型塩基対の形成の評価を行った。一対のImOC-ImOC塩基対を導入したDNA二重鎖の融解実験や質量分析測定から、二重鎖中でImOC-Cu(II)-ImOCおよびImOC-Hg(II)-ImOC塩基対を形成することを見出した。 (2) 金属配位性修飾ピリミジン塩基を用いた金属イオン応答性DNA鎖交換反応の開発:5-ヒドロキシウラシル(UOH)塩基を導入したDNA鎖を用いて、Gd(III)イオンとの金属錯体形成をトリガーとしたDNA鎖交換反応を開発した。さらに、DNAヘアピン構造やDNA分子ピンセット構造の構造制御への応用を検討した。 (3) 金属錯体形成により構造変換可能なDNA三叉路分岐モチーフの開発:ヌクレオシドの2’位にアミド結合を介してビピリジン配位子やフェナントロリン配位子を導入したDNA鎖を合成し、3:1金属錯体形成に基づくDNA三叉路分岐構造の安定化を行った。また、ビピリジン修飾DNAについては、金属イオン添加・除去による「DNA二重鎖⇔三叉路分岐構造」の可逆な相互変換や、セルフソーティングを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、金属錯体形成を駆動力として構造・機能のスイッチングが可能なDNA分子機械素子の創製を目的としている。本年度は主に、(1) Cu(II)イオンやHg(II)イオンとの2:1錯体形成により塩基対を形成する2-オキソ-4-イミダゾールカルボン酸型ヌクレオシドの開発、 (2) 5-ヒドロキシウラシル塩基を用いたGd(III)イオン応答性DNA鎖交換反応の開発、および (3) 3:1金属錯体形成により安定化・誘起される金属配位子修飾DNA三叉路分岐構造の開発 を行った。いずれも金属イオンに応答するDNA分子機械の重要な構成要素であり、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は主に、(1) 金属錯体形成により塩基対を形成する2-オキソ-4-イミダゾールカルボン酸型ヌクレオシドの開発、(2) 5-ヒドロキシウラシル塩基を用いたGd(III)イオン応答性DNA鎖交換反応の開発、(3) 金属錯体形成により構造変換可能なDNA三叉路分岐モチーフの開発 を遂行した。今後は、DNA分子機械素子の構築に向け、上記の金属配位子修飾DNA鎖を用いて、金属錯体形成によるDNA高次構造変換やDNAzymeなどの機能性核酸の活性制御を検討する計画である。
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Research Products
(21 results)