2021 Fiscal Year Annual Research Report
遷移状態ー基質ハイブリッドアナログ型酵素阻害剤の創製
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21H02070
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平井 剛 九州大学, 薬学研究院, 教授 (50359551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員准教授 (60184975)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シアル酸 / シアリダーゼ / 阻害剤 / 酸化的カップリング / グリコシル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、設計した3-exoSia型2糖誘導体の合成法の改良を中心に検討した。 まず、3-exoSia型ドナーの合成法の改善を検討し、鍵反応の改善に成功した。Sia誘導体とマロン酸誘導体のMn(III)による酸化的カップリングは1つ目の鍵反応であったが、これまで30%前後にとどまっていた収率を70%程度にまで改善することに成功した。この際、各種マロン酸誘導体を検討し、後の合成に適したマロン酸ユニットを見出すことにも成功した。本生成物からドナーへの変換を4工程で達成したが、問題となっていたLewis酸条件を用いる脱離基導入を回避できる手法を見出し、効率的なドナー合成を達成した。 このドナーを用いたグリコシル化の最適化にも取り組み、従来よりも収率は向上したが、次年度、さらに検討が必要な状況である。しかし、このグリコシル化で2糖構造だけでなく、最終目標であった3糖構造の合成も実現できることを見出した。 もう一つの残された課題であった最終工程での3-exoSia構造の構築であるが、脱炭酸的官能基化を考えていたが、最終的に3工程を想定していたこの段階をわずか1工程で達成可能であることを見出し、モデル化合物の合成に成功した。現在、本手法を3糖誘導体に適用するための方法論開発に取り組んでいる。 また、確立してきた合成法を利用して合成できる化合物の構造から、新たにシアリダーゼ阻害剤の候補骨格の設計に至った。その新規骨格の合成は、合成中間体の不安定性から非常に合成が困難であったが、最近、その攻略の糸口を見出した。次年度、合成を達成し、阻害活性を評価したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成の最適化を一部残したものの、計画した合成法の開発に成功し、阻害剤開発の基盤は整った。次年度の前半にはいくつかの化合物の阻害活性を評価できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、各段階の合成最適化研究を継続し、設計化合物の合成を達成する。また、これらの生物活性評価を進めていきたい。合成できたサンプルは順次、代表者の研究室、および分担者でそれぞれシアリダーゼ阻害活性を評価する。
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Research Products
(13 results)