2022 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical regulation of intrinsically disordered proteins in animal and plant cells
Project/Area Number |
21H02077
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大神田 淳子 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (50233052)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 14-3-3シグマ / 蛍光標識剤 / アクリルアミド / フシコクシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フシコクシン誘導体を用いた14-3-3たんぱく質間相互作用(PPI)の操作により動植物内細胞中の特定のリン酸化天然変性たんぱく質の活性に摂動を与え、生物機能ならびに細胞の環境応答の仕組みを解明し、創薬ならびに農業技術開発に資する知見を得ることを目的とする。2022年度は、フシコクシン半合成誘導体による14-3-3 isoform特異的可視化を検討した。具体的には、フシコクシンの糖鎖に求電子反応性基と蛍光基を組み込んだ架橋剤を合成した。化合物の設計では、リン酸化リガンドとの三者会合体形成時に14-3-3sigma isoformに特異的なCys38と近接効果により共有結合反応が起こることを期待し、合成は、バイオ生産によりグラムスケールで取得したフシコクシンJを出発原料とし、グルコース6’位水酸基を位置選択的化学修飾によりアミノ基に変換し、BODIPYとアクリルアミド基を含有したリシン誘導体を縮合することで達成した。各種リン酸化ペプチドリガンド存在下での14-3-3の蛍光標識化を蛍光ゲルイメージングで評価した結果、Cys38を持たないzeta isoformでは蛍光標識が起こらなかった一方、sigma isoformの場合には明らかなリガンド依存的蛍光標識化が認められ、cys38を標的とするisoform選択的な蛍光可視化が可能であることが示された。また、フシコクシンの12位水酸基の有無とリン酸化リガンドのi+1, i+2位アミノ酸残基によって蛍光標識化効率が変動し、12-ヒドロキシフシコクシンはi+1がC末端のリン酸化リガンドの場合に14-3-3sigmaを高効率で標識することが明らかにされた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フシコクシンの糖鎖水酸基の位置選択的官能基変換により、蛍光基と親電子反応性官能基を付与した誘導体を調製し、in vitroでの機能を確認することができた。細胞夾雑系における選択的蛍光検出の検討に向けて重要な知見といえる。一方、抗がん活性フシコクシンの作用機序解析が順調に進み、細胞内標的との作用点をほぼ特定することができた。その結果、細胞ストレス応答との関連が示唆され、未知の飢餓ストレス応答機構解明に向けた足掛かりが得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、特に抗がん活性フシコクシン誘導体の作用機序の全容解明に向けた検証と高活性新規誘導体の創出に注力する。具体的には標的蛋白質のノックダウンによる化合物の効果への影響の検証と標的部位のリン酸化を担う責任キナーゼの同定を検討し、結果をまとめて論文投稿する。また、クリック化学によるフシコクシン誘導体ライブラリを構築し、既存の活性を上回る誘導体の探索も検討する。
|