2022 Fiscal Year Annual Research Report
多色リアルタイム発光測定法によるストレス応答経路間のクロストークの解明
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21H02083
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 芳浩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (10291080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 一道 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (50633179)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ルシフェラーゼ / ストレス応答 / クロストーク / 細胞内ネットワーク / リアルタイム発光測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自に創出した多色リアルタイム発光測定法により、ストレス惹起時に起こる細胞内の主要なストレス応答経路の動的変動を正確に捉え、ストレス応答経路間のクロストークを明らかにするとともに、シンプルなネットワーク構造を作成することを目的とする。今年度は最初に、昨年度樹立したストレス応答評価用発光細胞の作動性検証を行った。具体的には、各種ストレス応答を惹起する陽性対象物質を処理した後、標的転写因子の核内移行を免疫染色法により確認した。これにより、リアルタイム発光測定により観察されるストレス応答の活性化に伴う発光の増加が、想定通りに標的転写因子の活性化に起因していることが確認された。続いて、解析対象のストレス応答経路の拡充のため、AP-1およびSTAT3経路評価用発光細胞を作製した。昨年度樹立した内部標準ルシフェラーゼ遺伝子が導入されたマウス線維芽細胞A9細胞、およびヒト肝癌由来HepG2細胞に、AP-1応答配列、或いはSTAT3応答配列を赤色発光ルシフェラーゼと連結したレポーターベクターをマウス人工染色体ベクターに相同組換えにより挿入し、安定細胞株を樹立した。続いてリアルタイム発光測定により、樹立した細胞の発光が陽性対象物質の濃度依存的に増加することを確認した。さらに、ストレス応答経路との相互作用の可能性が報告されている核内受容体評価用細胞についても作製した。酵母ツーハイブリッド系を利用し、各種の核内受容体リガンド結合ドメインとGAL4の融合配列の発現ベクター、およびUAS配列と赤色発光ルシフェラーゼを連結したレポーターベクターを内部標準ルシフェラーゼ遺伝子が導入されたA9およびHepG2細胞内の人工染色体ベクター内に挿入した。樹立した細胞を各々の陽性対象物質を用い、想定通りに核内受容体の活性化をリアルタイム発光測定により評価できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試薬および資材の入手の遅延により一部の実験に遅れが生じたが、概ね当初予定した評価用発光細胞の樹立を完了させた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまで樹立した評価用細胞群を用い、薬剤、および植物由来生理活性物質等のストレス応答経路に対する影響を検討するとともに、クロストークの有無および共通性について検証する。
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[Journal Article] Panel of human cell lines with human/mouse artificial chromosomes2022
Author(s)
Uno Narumi, Takata Shuta, Komoto Shinya, Miyamoto Hitomaru, Nakayama Yuji, Osaki Mitsuhiko, Mayuzumi Ryota, Miyazaki Natsumi, Hando Chiaki, Abe Satoshi, Sakuma Tetsushi, Yamamoto Takashi, Suzuki Teruhiko, Nakajima Yoshihiro, Oshimura Mitsuo, Tomizuka Kazuma, Kazuki Yasuhiro
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 12
Pages: 3009
DOI
Peer Reviewed / Open Access