2022 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸固定からトリオースリン酸生成の増強による光合成と個体生育の窒素利用効率の改良
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21H02084
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
鈴木 雄二 岩手大学, 農学部, 教授 (80374974)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光合成 / カルビンサイクル / 遺伝子組換え / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実施内容は以下の4項目である。 1. PGKが光合成を律速しないことについての論文作成・公表 2. TPI増強が光合成能力強化に有効であることについての論文作成・公表 3. Rubisco・GAPDH・TPI同時増強イネの作製と解析 前年度に得られたRubisco・GAPDH・TPI増強イネ(RGT系統)の種子を播種し、光合成特性の解析を行った。また、この種子から分離してきたRubisco・TPI同時増強イネ(RT系統)、GAPDH増強イネとTPI増強イネを交配したこれらの同時増強イネ(GT系統)、及び野生型イネも対照植物として用いた。RGT系統及びRT系統の光合成速度は、強光・異なるCO2条件において、いずれも野生型を上回ることはなかった。その一方で、GT系統においては高CO2環境下の光合成速度が野生型に比べ10%程度増加していた。この増加程度は、それぞれを単独で増強したイネと同程度であった。以上から、残念ながらRubisco・GAPDH・TPIの同時増強は光合成能力の強化につながらなかった。また、GAPDHとTPIの増強は、それぞれカルビンサイクル代謝の改善により光合成能力の強化につながるものの、これらに相加効果はなかった。これがRubisco・GAPDH・TPIの同時増強による光合成能力強化につながらなかった主な原因であると考えられた。上記系統のタンパク質レベルでの解析は進行中であるが、これまでのところ目的タンパク質の量的増加は見られている。 4. その他 カルビンサイクルの動作が光化学系の動作に及ぼす影響をイネ葉の一生において解析することで、光化学系が光合成能力強化の対象となるかについても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
解析が必要な項目はまだ多少は残っているものの、当初の仮説に対する答えが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1. Rubisco・GAPDH・TPI増強イネの解析(前年度からの続き)及び論文投稿 前述のイネについての生理生化学的解析を引き続き行ったうえで、論文を作成し投稿する。 2. 光合成能力強化に関する他の方策についての検討 上述の通り、当初の目的通りの結果とはならなかったため、光合成能力強化に関する他の方策について検討することとし、上記以外の光合成機能因子の増強に向けた研究に着手することとする。
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