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2021 Fiscal Year Annual Research Report

二酸化炭素固定化酵素Rubiscoの酸化失活・分解の生理生態学的意義の再定義

Research Project

Project/Area Number 21H02089
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

島田 裕士  広島大学, 統合生命科学研究科(理), 准教授 (80301175)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 冨永 淳  広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (20788632)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsRubisco / BSD2 / redox
Outline of Annual Research Achievements

(1)Rubisco酸化と作物の窒素利用効率の関係解明:屋外圃場で栽培した複数の作物種を対象にRubisco還元活性化率の日変化を調査した。その結果,Rubisco還元活性化率は午後に低下し,下位葉ほど低い傾向が見られた。これらはRubiscoの酸化が日中の光合成活性低下の一因であること,また,Rubiscoの失活・分解を介して窒素利用効率に影響を与えている可能性を支持している。今後は窒素施肥区を設けた圃場試験を行う。
(2)Rubisco酸化抑制が作物の生産性および窒素利用効率に与える影響評価:ガラス温室で栽培したBSD2高発現イネでは光合成活性の上昇やバイオマスの増加が確認できなかった。また,千粒重の低下で玄米収量が低下しており,BSD2高発現による登熟過程への影響が示唆された。今後は制御環境での栽培試験で,より詳細に生育の分析をおこなう。
(3)酸化失活耐性Rubiscoの作出:各種シャペロン遺伝子とシロイヌナズナRubisco L, Sサブユニット遺伝子(RbcL, RbcS)を大腸菌で発現し,活性型のRubisco複合体の発現系を確立した。同時に分光光度計を用いた系とRIを用いた系それぞれでのRubisco活性測定系を確立した。上記大腸菌発現系においてトウモロコシRbcLとシロイヌナズナRbcSのキメラRubisco複合体の発現を試みたが,Rubiscoの活性は検出できなかった。シロイヌナズナRbcL遺伝子の改変2種類(RbcL-1, -2)の発現ベクターを構築し,大腸菌での発現系を確立した。それぞれのRubisco活性を測定した結果,RbcL-1は野生型RbcLに対して最大酵素活性が約2.3倍上昇していた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1)Rubisco酸化と作物の窒素利用効率の関係解明:屋外圃場で栽培したトマト,ダイズ,オクラ,トウモロコシ,ソルガムを対象に,Rubisco還元活性化率の日変化を調査した。その結果,上位葉でRubisco還元活性化率は朝から正午にかけて最も高かった。下位老化葉ほど還元活性化率が低下していることから,Rubisco還元活性化率の低下がRubisco分解に関与している可能性を示唆していた。C4植物はC3植物より酸化によるRubiscoの失活が顕著であった。
(2)Rubisco酸化抑制が作物の生産性および窒素利用効率に与える影響評価:BSD2高発現イネでは,シロイヌナズナで見られたような光合成活性の上昇やバイオマスの増加を確認できなかった。原因として,種の違いや環境条件の違いが考えられる。また,千粒重の低下による玄米収量の低下が見られ,何らかの影響によって転流が停滞していた。
(3)酸化失活耐性Rubiscoの作出:各種シャペロン遺伝子とシロイヌナズナRubisco L, Sサブユニット遺伝子(RbcL, RbcS)を大腸菌で発現し,活性型のRubisco複合体の発現系を確立した。同時に分光光度計を用いた系とRIを用いた系それぞれでのRubisco活性測定系を確立した。上記大腸菌発現系においてトウモロコシRbcLとシロイヌナズナRbcSのキメラRubisco複合体の発現を試みたが,Rubiscoの活性は検出できなかった。シロイヌナズナRbcL遺伝子の改変2種類(RbcL-1, -2)の発現ベクターを構築し,大腸菌での発現系を確立した。それぞれのRubisco活性を測定した結果,RbcL-1は野生型RbcLに対して最大酵素活性が約2.3倍上昇していた。

Strategy for Future Research Activity

(1)Rubisco酸化と作物の窒素利用効率の関係解明:これまでの観察的な実験から,Rubiscoの酸化が光合成の日変化や窒素転流に関与することが示唆された。今後は窒素施肥量の異なる区を設けて圃場試験を行い,Rubiscoの酸化が光合成や窒素転流を介してどのように窒素利用効率に影響するのか明らかにする。水田において窒素利用効率を有するイネ群落を作り,群落内の異なる葉位でRubiscoの酸化還元状態と光合成の日変化測定を行う。
(2)Rubisco酸化抑制が作物の生産性および窒素利用効率に与える影響評価:BSD2高発現イネで光合成活性の上昇やバイオマスの増加を確認できなかった要因として,栽培環境の影響が考えられる。BSD2高発現と転流阻害との因果関係も不明である。今後は制御環境下での栽培試験を行い,サンプリング頻度を増やしてより詳細に生育の分析をおこなう。また圃場試験と同様に,BSD2高発現イネにおいてもRubiscoの還元活性化率や光合成活性の関係を調べる。
(3)酸化耐性失格Rubiscoの作出:前年度までに構築した改変RbcL遺伝子のKm, Kcat等各種酵素反応速度定数を決定するとともに,これら改変Rubiscoのin vitroでの酸化耐性を解析する。また,ゲノム編集技術またはパーティクルガンを用いた相同組換え技術による葉緑体遺伝子コードRbcL遺伝子の改変を試みる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Orange protein, phytoene synthase regulator, has protein disulfide reductase activity2022

    • Author(s)
      Yuto Ooga, Miho Takemura, Atsushi Sakamoto, Norihiko Misawa, and Hiroshi Shimada
    • Journal Title

      Plant signaling & Behavior

      Volume: in press Pages: -

    • DOI

      10.1080/15592324.2022.2072094

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] ハイスループット光合成活性測定装置の開発2022

    • Author(s)
      岩坂凪紗,冨永淳,高橋俊一,佐藤綾人,木下俊則,坂本敦,島田裕士
    • Organizer
      第63回日本植物生理学会年会
  • [Presentation] 気孔がある葉面でのクチクラコンダクタンス推定2022

    • Author(s)
      冨永淳,Joseph Stinziano,David Hanson
    • Organizer
      第63回日本植物生理学会年会
  • [Presentation] 葉内CO2濃度の直接測定:気孔面のクチクラコンダクタンス測定法の開発2022

    • Author(s)
      冨永淳,川満芳信,Joseph Stinziano,David Hanson
    • Organizer
      日本作物学会第253回講演会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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