2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02149
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
大池 秀明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (30455307)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 難聴予防 / 加齢性難聴 / マウスモデル / 神経老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、マウスの聴覚システムをモデルとして、神経機能やストレスに対するダメージに時刻依存性があるかを明らかにすることで、時間栄養学に基づく神経予防戦略を構築することを目的としている。初年度は、まず、マウス(C57BL/6系統)の聴覚機能と大音響ストレスに対するダメージの時刻依存性について検証を行った。聴力は聴性脳幹反応(ABR)により測定した。その結果、純音に対する聴性脳幹反応の閾値は、暗期(活動期)に計測したマウスと、明期(休息期)に計測したマウスとで差は認められなかったが、反応の潜時については、暗期に計測したマウスの方が短くなる傾向が認められた。続いて、大音響負荷による一過的な音響障害を1週間後の聴力低下により評価したところ、明期から暗期への切り替え前後(活動期の開始前後;ヒトにおける朝)に音響負荷した場合と比較し、暗期から明期の切り替え前後(活動期の終了前後;ヒトにおける晩)に音響負荷した場合の方が、聴力低下度(音響ダメージ)が大きい傾向が認められた。以上の結果から、聴覚機能や音響ストレスによるダメージには、当初の仮説通り、時刻依存性が存在することが示された。このことから、体内時計をかく乱することで難聴の進行が加速される可能性と、抗酸化物質等の摂取による難聴予防効果に時刻依存性が生じる可能性が考えられることから、マウスを通常の明暗環境と慢性的に時差を生じる明暗環境で飼育した場合に、自然に進行する難聴進行に影響するかについて長期的な検証を開始した。同時に、マウス試験において難聴予防効果が知られているNアセチルシステインの投与についても検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に、本課題の仮説の根幹部分である聴覚機能に時刻依存性があることを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
長期飼育など時間がかかる試験を開始しつつ、短期間で検証が可能な遺伝子発現解析等をその間に実施することで、効率の良い研究推進を可能にする。
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Research Products
(1 results)