2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02153
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
本田 信治 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (90632167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 信弘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (70206514)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アカパンカビ / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表らは構築したモデル糸状菌アカパンカビのウイルス感染系(Honda et al, Nature Comm, 2020)を用いて、宿主がウイルス感染に対して過剰に免疫応答することで、病気になることを発見した。本研究の目的は、この免疫暴走化に関わる「ウイルス認識機構とその下流因子」、免疫暴走の鍵となる「病的原因遺伝子」を同定し、その分子機序を解明することである。 ウイルス応答遺伝子群の正常な免疫応答を誘導するWT(正常)株のNcFV1感染、逆に、過剰な免疫応答を誘導するqde-2のNcFV1感染と、それぞれに対応する非感染間のRNA-seqを行い、比較解析することで各々の状態のウイルス応答遺伝子群を同定した。そして、過剰な免疫応答を誘導時に顕著に発現が変動する遺伝子群を抽出し、対応するKO株を単離・NcFV1感染させ、その表現型を解析した。その結果、過剰な免疫応答を抑制し、正常な免疫応答を導く遺伝子の同定に成功した。さらに、その過剰な免疫応答を抑制する病的原因遺伝子の同定にも成功した。 また、正常な免疫応答を誘導する遺伝子と過剰な免疫応答を誘導する遺伝子が、クリ胴枯病菌をはじめ、主要な糸状菌にも保存され、一部の菌類でその作用機構を利用していることも確認した。これらの結果から、免疫暴走化は進化的に糸状菌に保存されたウイルス応答機構であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定していたウイルス由来のキャップ無しssRNAを認識することが知られている蛋白質の同定は未だに至っていないが、研究計画を前倒しし、免疫暴走を誘導する病的原因遺伝子の抽出・同定に成功したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進は、当初の研究計画を入れ替えて行う。具体的には、新規のウイルスRNAを認識する因子の同定とその機能解析を引き続き行う。
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Research Products
(3 results)