2021 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科育種素材の多様化に対応した受粉反応評価軸の再構築と分子基盤
Project/Area Number |
21H02162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 正夫 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90240522)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アブラナ科植物 / 自家不和合性 / 一側性不和合性 / 受粉反応 / 育種素材 |
Outline of Annual Research Achievements |
アブラナ科作物では自家不和合性(SI)による経済的F1育種が行われているが、海外由来系統と交雑を背景と考えられる想定外の不和合性が育種効率化の障害となっている。申請者はアブラナ科の自家不和合性研究から、SI分子機構を解明し、日本とトルコ系統間での一側性不和合性(UI)の原因がS遺伝子座の重複と機能喪失であることを証明した。つまり、アブラナ科作物の育種素材の受粉反応では、SIにUIも加味した現象理解が至急の課題である。本研究ではSIとUIが示す共通性と多様性の実態解明を深化させ、受粉反応評価軸を再構築する。 アブラナ科作物の育種現場では、多様な作型への適応、耐病性、食味等に多様性を持たせるため、既存品種と欧州・中央アジア等が起源地である素材との交雑が頻繁化し、S遺伝子だけでは説明できない不和合性現象が見られ、育種効率化の障害となっている。 申請者はアブラナ科の自家不和合性(SI)研究から、SI分子機構を解明し、日本とトルコ系統間での一側性不和合性(UI)の原因がS遺伝子座の重複と機能喪失であることを証明した。 本研究では、(1) SIとUI表現型における共通性・多様性の細胞レベルでの理解、(2) SIとUIにおけるMLPK下流因子の同定・機能解析による下流因子の共通性・多様性の分子レベルでの理解、(3) SIとUIにおける対立遺伝子間での優劣性発現機構の共通性・多様性の理解であり、受粉反応の新たな分子基盤の構築を目指す。これらを統合して、SIとUIが示す共通性と多様性の実態解明を深化させ、受粉反応評価軸を再構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アブラナ科作物の自家不和合性(SI)と一側性不和合性(UI)が示す共通性と多様性の実態解明を深化させ、受粉反応評価軸の再構築に向けて、3つの観点((I) 柱頭上での花粉表現型、(II) 柱頭認識分子下流の共通性と多様性、(III) 優劣性発現機構)に対する統合的な理解を通じて、受粉反応の新たな分子基盤の構築が本研究の目的である。 今年度は、研究項目Iについては、SI遺伝子とUI遺伝子において異なる遺伝的背景下での柱頭上での表現型の共通性・多様性解析について、アニリンブルー染色で同一性、差異を調査した。その結果、両者に明確な差異はなく、2つの不和合性反応の下流は共通していた。 研究項目IIとして、SRKと相互作用するMLPK下流因子がSIで必須であることを再確認した。また、mlpk遺伝的背景でUIが起きないことから下流因子としてUIにおいてもMLPKが必須であることを証明した。また、新規下流因子SC1遺伝子がSIの下流因子として必須であり、UIでも必須であることを遺伝学的に示した。また、sc1遺伝的背景にするために、CRISPR/Cas9による遺伝子破壊系統の作出を開始したが、ゲノム編集する位置が重要であり、外部の研究室との共同研究により問題解決を試みた。 研究項目IIIでは、SIとUIにおける優劣性発現機構の共通性・多様性の解明に向けて、PUI1/pui1個体での各配偶子を持つ遺伝子の後代への遺伝性を調査し、配偶体的な遺伝的挙動を示す可能性を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目Iについては、SI遺伝子、UI遺伝子の対立遺伝子を変化させ、差異がないか改めて検証する。 研究項目IIについては、MLPK, SC1遺伝子の二重劣性と単一劣性での影響についても表現型を検討する。SC1遺伝機能欠損系統をゲノム編集で作出し、遺伝子側からSC1遺伝子の機能を解明する。 研究項目IIIでは低分子RNAによる優劣性発現機構の可能性を検討する。
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Remarks |
2021年度には、アウトリーチ活動を54回(実施人数:2,247人)行った。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Spatiogenetic characterization of S receptor kinase (SRK) alleles in the naturalized populations of Raphanus sativus L. var. raphanistroides on Yakushima island.2021
Author(s)
Fukushima, K., Kanomata, T., Kon, A., Masuko-Suzuki, H., Ito, K., Ogata, S., Takada, Y., Komatsubara, Y., Nakamura, T., Watanabe, T., Koizumi, S., Sanuki, H., Park, J.-I., Niikura, S., Suwabe, K., Fujii, S., Murase, K., Takayama, S., Suzuki, G., and Watanabe, M.
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Journal Title
Genes Genet. Syst.
Volume: 96
Pages: 127-137
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Pollen sterility with abnormal anther development of Japanese apricot in relation to foraging behaior of honeybees.2021
Author(s)
Mori, S., Shimma, S., Masuko-Suzuki, H., Watanabe, M., Nakanishi, T., Tsukioka, J., Goto, K., Fukui, H., and Hirai, N.
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Journal Title
Plant Biotechnol.
Volume: 38
Pages: 355-366
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Genetic diversity of genes controlling unilareral incompatibility in Japanese cultivars of Chinese cabbage.2021
Author(s)
Takada, Y., Mihara, Y., He, Y., Xie, H., Ozaki, Y., Nishida, H., Hong, S., Lim, Y. P., Takayama, S., Suzuki, G., and Watanabe, M.
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Journal Title
Plants
Volume: 10
Pages: 2467
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Book] 改訂 遺伝単2021
Author(s)
渡辺正夫
Total Pages
456
Publisher
エヌ・ティー・エス出版
ISBN
9784860437121
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[Book] Advances in Plant Breeding Strategies: Vegetable Crops Volume 102021
Author(s)
Okamoto, T., Wei, X., Mehraj, H., Rashed Hossain, M., Akter, A., Miyaji, N., Takada, Y., Park, J.-I., Fujimoto, R., Nou, I.-S., and Watanabe, M.
Total Pages
557
Publisher
Springer International Publishing
ISBN
3030669688
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