2021 Fiscal Year Annual Research Report
A quantitative analysis on the factors to increase occurrence of soil-born diseases in soybean
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21H02172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (30154363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 千尋 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60263133)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
田中 佑 京都大学, 農学研究科, 助教 (50634474)
田中 貴 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20805436)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイズ / 土壌病害 / 発病要因 / IPM / 空間変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はダイズの重要壌病害であるダイズ茎疫病(Phytophthora sojae、以下茎疫病)とダイズ黒根腐病(Calonectria ilicicola、以下黒根腐病) を取り上げ、①現地圃場における発生関連要因の網羅的調査、②発生促進要因の単純系における実験的検証、および③土壌病害発生(感染個体率、発病程度)および要因分布の空間解析を行い、発病リスクを高める栽培環境を提示しようとしている。2021年度は、①現地調査として、茎疫病常発地帯で特に発生の多い圃場群(兵庫県竜野市)を対象に、竹万地区20圃場および北山地区11圃場の計31圃場のダイズ播種時期、ダイズ生育状況および発病状況を概査し、発病に特徴的な変異を示す4圃場(竹万#46、49、58の3圃場、北山#64の1圃場)を抽出した。これらはコムギ作で優秀な成績を上げている大規模農業法人によるものであり、排水対策は暗渠排水設備に加えて熟練した作業者による弾丸暗渠が施されることにより万全な状態にあり、降雨後もほとんど滞水はみられなかった。しかし茎疫病発生程度は圃場間で大きく、竹万#46と#49は少なく、それらと近接する#58では著しく多かった。北山#64も比較的発生が多いが発生分布に大きな偏りがあった。現在、それらの変異と土壌伝染源ポテンシャルおよび土壌化学性との関連を検討している。②土壌病害発生要因の実験的検証として、ダイズ実生の胚軸に人為的に与えた傷が茎疫病接種後の発病に与える影響を検討し、傷を与えない場合は摂取を行ってもほとんど発病しないが、傷を与えた場合はその深さに応じて発病し枯死率が高くなること、接種後の湿度が高い場合にその程度た高くなることを認め、その成果を日本作物学会講演会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①現地調査について、茎疫病が多発している兵庫県たつの市の農業法人グリーンファーム揖西および同法人と契約しているヒガシマル醤油㈱から研究協力を得る体制を確立し、対象地域における圃場群の概査を行うことができた。同地域では、醤油原料ダイズの契約栽培が行われているため、単一品種たつまろのみが栽培されており、茎疫病発生の要因を病害抵抗性などの遺伝的要因と切り離した解析が可能になった。また、予備調査として行っていた兵庫県篠山市および京都府綾部市での解析結果の取りまとめが完了した。②実験的検討については、既に進めていた植物体上の傷が病害発生に及ぼす影響について、実験をさらに進め、学会での報告を行った。また、既に行っていた予備的検討の成果の一部(茎疫病接種が苗の生長に及ぼす影響)をPlant Production Science誌に公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査については、兵庫県竜野市での調査で見出した茎疫病の発生様相が異なる4圃場について、病害発生分布ならびに土壌条件に関する精査を行う。対象圃場は面積が広大であるので、UAVで取得した画像による病害発生検出を試みる。また、黒根腐病多発圃場において、病害発生分布のUAVを用いた検出を試みる。実験的検討については、人為的創傷および空気湿度が茎疫病発生に及ぼす影響について得られた成果の論文投稿を行うとともに、傷発生後の癒傷過程が感染に及ぼす影響についてさらに検討を進める。また、ダイズの根に称した傷についてもそれが茎疫病発生に及ぼす影響を検討する。
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