2021 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of novel garden stock resources by combination of mutagenesis, genomics, and transformant
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21H02183
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中塚 貴司 静岡大学, 農学部, 准教授 (60435576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 晃好 静岡大学, 農学部, 助教 (50776490)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ストック / 遺伝子組換え / ゲノム編集 / 突然変異 / 花型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ストックは、冬季に加温を必要としない「省エネ花卉」として注目されている。この栽培上の利点を生かしたうえで、バラやカーネーションのように広い消費者に魅力ある花形質を有する品種を開発することが求められている。本研究の目的は、遺伝子解析、突然変異、遺伝子組換え技術(ゲノム編集)を組み合わせ、ストックの新しい遺伝資源を作出することである。シロイヌナズナ変異体の学術情報を参照し、花型や草姿、花色に関する遺伝子をウイルスベクターを用いてノックダウンし、その表現型からストックの花形質改変にとって有用な遺伝子を特定する。特定した遺伝子変異を重イオンビーム突然変異体からの選抜やゲノム編集により、実用的な育種素材を開発する。 ストックにおいて、カルス誘導剤であるFPXを用いることで、葉片から置床2週間でカルスを誘導できることが明らかになった。この組織培養条件を用いて、Agrobacterium感染条件や抗生物質選抜条件を検討した結果、効率的な形質転換法の確立に成功した。シロイヌナズナ花型関連遺伝子の相同遺伝子をストックから単離し、ゲノム編集ベクターを構築し、形質転換体の作出を開始した。さらに、CLV3やAP2、SUPなど花器官の大きさに関与する遺伝子に注目し、ストックゲノム配列から相同遺伝子の単離を行った。 重イオンビーム照射したストック集団の中から、花型や花色が変異した個体が複数得られた。これらの変異体は自殖し、次世代において形質の安定していることを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にストックの安定した形質転換法が確立し、論文投稿を行った。AG過剰発現体は、八重咲きから一重咲きへの表現型を期待していたが、現在得られている個体は花器官の萎縮した表現型となっており、新たな問題も明らかになった。さらに、形質転換を活用し、ゲノム編集個体の作出に着手できている。現在、抗生物質耐性カルスが得られ、シュート再生を誘導しており、2年目には表現型の評価ができる見込みである。 また、重イオンビームを照射したストックにおいて、花色や花型などに表現型の変化がみられる個体が複数得られている。これら変異体について、遺伝解析を行うために交雑を行っており、順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した遺伝子組換え法を用いて、ゲノム編集個体の作出を継続していく。AP2、CLV3、SUPなど当初の計画ではなかった遺伝子のゲノム編集をを追加することで、より豪華な花型改変に向けて多方面からのアプローチを行っている。AG遺伝子の過剰発現体は、八重咲きから一重咲きへの変換ができないことが明らかになった。これはcDNAを用いたことが原因だと考えられ、ストックからゲノムAG遺伝子の単離し、その導入で改善できると考えている。ベクター構築が完了し、形質転換体の作出を行っている。 突然変異育種において、表現型の変化が見られた個体について原因遺伝子の特定に向けて、RNA-seqによる発現解析を行う。
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