2021 Fiscal Year Annual Research Report
エチレン生合成ACC合成酵素の寿命を制御するタンパク質ホスファターゼの解析
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21H02185
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 仁志 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20220014)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ACC合成酵素 / エチレン生合成 / プロテインホスファターゼ / 翻訳後制御機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
エチレンは果実の追熟、野菜・花卉の鮮度保存など園芸作物に大きな影響を与えるため、エチレンを人為的に制御することは、園芸分野において重要な課題である。現在、エチレン生合成に関する研究の中で明らかになっていない点は、エチレン生合成経路の鍵となるACC合成酵素のリン酸化状態による翻訳後制御機構である。本研究は、ACC合成酵素のリン酸化状態を制御するProtein Phoshatase(PPase)を同定し翻訳後制御機構を解析する。この成果によってエチレン生成調節機構 を明らかにし、園芸作物の品質向上に資するための基盤的知見を得ることを目的にしている。質量分析計を使って解析した結果、ACC合成酵素を脱リン酸する protein phosphatase PP2AのサブユニットA, B, Cをいくらか絞り込めてきた。特にBサブユニットの中のサブファミリーB型(2種類)、B'型(9種類)、B''型(5 種類)に分かれており、これまでの解析からB''型が候補と考えられる。各サブユニットのcDNAをクローニングして、発現量を解析したが、特に著しく増減することはない。PP2Aは様々なリン酸化タンパク質を脱リン酸して生理現象を制御する機能があり、ACC合成酵素を脱リン酸することはその機能の一つに過ぎない。 従ってACC合成酵素の制御と関わって発現量が増減しなくても違和感はない。だからこそ、どのPP2AのサブユニットがACC合成酵素とタンパク質間相互作用するこ とを明らかにする意味は大きい。本来の予定ではAlphaScreen法により解析する計画だったが、まだ十分に解析できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PP2AとACC合成酵素のタンパク質間相互作用を解析するために、AlphaScreen法を用いる計画だったが予定通りの成果がでなかった。考えられる原因の一つは、相互作用すると想定していたいくつかのサブユニットB''型が、元々相互作用しない可能性である。しかし、これまでの結果からその原因を考えられない。ACC合成酵素がうまくリン酸化されていないために相互作用しなかったためではないかと考えている。前提としてin vitroでACC合成酵素とPP2Aの結合が検証できると考えているが、ここが間違っているかもしれない。 別の観点から考えると、リン酸化タンパク質とPP2Aが相互作用するポジティブコントロールがなかったために、実験自体を検証できなかったかも知れない
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Strategy for Future Research Activity |
再度、PP2AとACC合成酵素のタンパク質間相互作用をAlphaScreen法で解析する。ACC合成酵素タンパク質のリン酸化を確認すると共に、リン酸化されるア ミノ酸残基をアスパラギン酸に変換して疑似リン酸化にしたACC合成酵素と相互作用を解析する。しかし、何度かやっているがあまりいい成果が得られない。うまくいかない理由にも記述したが、in vitroでACC合成酵素とPP2Aの結合が検証できると考えているが、この考えが間違っているかもしれない。仮に正しくても、リン酸基を瞬間に切り離すので、その結果として結合も瞬間的でAlphaScreen法では検出できないかもしれない。脱リン酸化されたACC合成酵素の量を定量することによって、相互作用する相手を同定できるかもしれない。
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Research Products
(1 results)