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2022 Fiscal Year Annual Research Report

ニンニクウイルスOYDVがLYSVにアブラムシ伝搬を依存する分子メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 21H02190
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

増田 税  北海道大学, 農学研究院, 教授 (60281854)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsOYDV / LYSV / ニンニク / HC-Pro / アブラムシ伝搬
Outline of Annual Research Achievements

北海道産ニンニクには2つのpotyvirus、ネギ萎縮ウイルス(OYDV)とリーキ黄色条斑ウイルス(LYSV)が混合感染している。OYDVのアブラムシ伝搬に必須のタンパク質HC-Proのシーケンスを解析したところ、N末端に大きな欠失があり、北海道産OYDVはアブラムシ伝搬能を失っているものと推測された。研究代表者は、OYDVはアブラムシ伝搬をLYSVに依存しているのではないかという仮説を持った。アブラムシがウイルスを獲得するには、コートタンパク質(CP)-HC-Pro複合体がアブラムシの口針のStylin受容体に結合できるのではないかと想定され、この結合の存在の有無を明らかにしようとしている。昨年度、agroinfiltration法によってベンタミアーナタバコの葉で発現させたタンパク質を抽出し、OYDVのHC-Proとアブラムシの口針リセプタータンパク質(StylinとPR1)との間にdot blot法によって相互作用があることを検出できた。また、HC-ProのN末端に欠失あるものは、StylinやPR1と結合できないことも確認できた。一方、抗体によるpull-down法では、実験の再現性に問題があった。この理由として、HC-Pro同士によるポリマーの形成によって、HC-ProとStylinやPR1との結合に影響がでたためと考えられた。さらに、昨年度は、LYSVをリーキから分離してみたところ、その分離株(リーキ株)は、ニンニクからふつうに分離されるLYSVと明らかに異なる塩基配列をもっていた。しかも系統進化学的解析によって、リーキ株ではリーキへの宿主特異的な適応が進んでいることが判明した。Potyvirusの進化が宿主特異的に起きるという報告はまれである。OYDVとLYSVのアブラムシ伝搬にも宿主特異性が存在するのかもしれない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は概ね予定通りに進んでいる。ただ、仮説が正しいか検証するには、材料として用いたウイルスタンパク質のアミノ酸配列の多様性がどの程度タンパク質間相互作用に影響するのか見極める必要がある。昨年度行った分離ウイルスの系統進化学的解析の結果から、OYDVとLYSVは宿主特異的に進化している実態が明らかになった。したがって、HC-ProやP1タンパク質の配列について、同じウイルス由来と考えられる場合であっても、様々に異なっていたことから、ウイルスタンパク質間、あるいはウイルスタンパク質とアブラムシの口針受容体間の相互作用についても、一様ではない可能性がある。例えば、「N-typeのHC-ProはOYDVのHC-Proをサポートできるが、S-typeのHC-Proにはそのような能力はない」など、一般化してLYSVとOYDVの混合感染を説明できないかもしれない。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、まず、LYSVやOYDVの宿主特異的進化について、さらなる系統進化学的解析を進める予定である。特にLYSVのリーキ特異的適応についてその要因を明らかにしたい。さらに、その情報を基に、「どのウイルス株のどのタンパク質を使用してタンパク質間相互作用の解析実験を進めるのか」を決定した後、「OYDVのCPがStylin (PR1)-HC-Pro複合体に結合することができるのか」、dot blot法によって解析する予定である。また、実験に用いるHC-ProがOYDVと同じpotyvirus属のLYSV由来の場合に、OYDVのCPさらにはStylin (PR1)との3者の間でどのような複合体を形成するのか解明する計画である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Leek yellow stripe virus can adjust for host adaptation by trimming the N-terminal domain to allow the P1 protein to function as an RNA silencing suppressor.2022

    • Author(s)
      Sasaki, J., Kawakubo, S., Kim, H., Kim, O.-K., Yamashita, K., Shimura, H. and Masuta, C.
    • Journal Title

      Plant Pathology Journal

      Volume: 38 Pages: 383-394

    • DOI

      10.5423/PPJ.FT.06.2022.0077

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] リーキ黄色条斑ウイルスとネギ属植物の共進化:リーキからニンニクへの宿主適応2023

    • Author(s)
      川久保修佑、Hangil Kim、竹下稔、増田税
    • Organizer
      令和5年度日本植物病理学会大会
  • [Presentation] リーキ黄色条斑ウイルスのP1タンパク質における欠失は宿主域を拡大させる適応進化である2022

    • Author(s)
      川久保修佑、佐々木純、Hangil Kim、Ok-kyong Kim、山下和夫、志村華子、増田税
    • Organizer
      第69回日本ウイルス学会学術集会
  • [Presentation] リーキ黄色条斑ウイルスの宿主適応的系統進化2022

    • Author(s)
      川久保修佑、Hangil Kim、竹下稔、増田税
    • Organizer
      令和4年度日本植物病理学会北海道部会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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