2022 Fiscal Year Annual Research Report
炭素分配戦略の視点から明らかにする天然スギ機能形質の地理変異
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21H02227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日浦 勉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (70250496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 義彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20353774)
東 若菜 神戸大学, 農学研究科, 助教 (20780761)
斉藤 拓也 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主幹研究員 (40414370)
太田 民久 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60747591)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地理変異 / 根滲出物 / BVOC / 葉圏微生物 / カルシウム / 水分生理 |
Outline of Annual Research Achievements |
スギは日本の森林で最もバイオマスの大きい樹種であり、全国に分布し森林面積の約20%を占めている。すなわちスギという樹種が日本の温帯 林生態系の骨格構造を形成していると言っても過言ではない。近年、日本各地に分布する天然スギ集団が遺伝的に分化しているだけでなく、根 浸出物や二次代謝物質などの機能形質にも大きな違いがあることが明らかになりつつある。しかしながら、機能形質の地理変異をもたらした要 因や形質間の相互関係、更にはそれらの生態系機能への影響はほとんど明らかにされていない。本研究は全国14集団の天然スギを対象に、複数 の共通圃場実験により機能形質の地理的変異を詳細に調べ、炭素分配を基軸にしたその機能間関係を明らかにする。これらをもとに、異なるス ギ集団が地域の栄養塩動態や水循環を中心とする生態系機能に及ぼす潜在的影響の違いを明らかにする。
上記の成果としてEcological Research誌に本科研の成果特集号を組み、5本の論文を公表したほか、一般誌に解説記事を書くなどアウトリーチ活動も行った。 川渡共通圃場で14産地のスギ個体から根滲出物の測定を行うとともに、筑波共通圃場での3産地のスギ個体を用いた降雨遮断実験を継続し、水分生理応答の測定とBVOC放出量の測定を本格的に開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ecological Research誌に本科研の成果特集号を組み、5本の論文を公表したほか、一般誌に解説記事を書くなどアウトリーチ活動も行った。 川渡共通圃場で14産地のスギ個体から根滲出物の測定を行った。 筑波共通圃場での3産地のスギ個体を用いた降雨遮断実験を継続し、水分生理応答の測定とBVOC放出量の測定を本格的に開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
筑波共通圃場での3産地のスギ個体を用いた降雨遮断実験を継続し、水分生理応答の測定結果を解析する。 天然スギ集団のうちBVOC放出に特徴のあった阿蔵寺で葉や土壌のサンプリングを行う。 和歌山共通圃場で行った産地ごとの根の形態に関する結果をまとめ、論文として国際誌に投稿する。
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