2022 Fiscal Year Annual Research Report
水分変動増大とプライミング効果:森林土壌の炭素動態予測高度化へ向けた影響評価
Project/Area Number |
21H02231
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永野 博彦 新潟大学, 自然科学系, 助教 (40758918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嵐 淳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主席 (30421697)
平舘 俊太郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (60354099)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気候変動 / 土壌有機物分解 / 降水パターン / 気象激甚化 / 火山灰土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となる2022年度は、1年目に開始した長期の土壌培養実験を継続し完了した。土壌理化学性の分析も順調に進んでいる。完了した培養実験では、いずれの土壌(国内6か所、10土壌)についても、水分変動増大処理区における二酸化炭素放出速度は水分変動の無い対照区の放出速度よりも大きくなった。ただし、水分変動増大による二酸化炭素放出増大量は土壌によって様々であった。現在、水分変動増大による二酸化炭素放出増大量の土壌間での違いを規定する土壌理化学性を探索中であり、特に採取時の土壌水分量と二酸化炭素放出増大量との間に強い正の相関を示すデータが得られつつある。採取時の土壌水分量は土壌の水分保持能力との関連が強いと考えられるため、土壌の水分保持能力から水分変動増大による二酸化炭素放出増大量を推定できる可能性が示されつつある。また、温度依存性の指標となる二酸化炭素放出のQ10指数は、水分変動増大処理の方が対照区よりも低くなる傾向が培養期間全体としても示され、解釈の一つとして、水分変動増大環境におけるプライミング効果の発現が想定された。水分変動増大環境でのQ10指数低下を引き起こすメカニズム解明に向け、更なる土壌理化学性や微生物性の分析を進めており、また新たな追実験の計画も構想しているところである。これまでに得られた成果の一部については、論文化に向けた準備を開始したところである。また、得られた成果に基づいた研究発表も複数の国際学会および国内学会で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、採取したすべての土壌について培養実験を完了した他、土壌分析データの取得も順調に進んでおり、研究目的の達成に向けた研究知見を順調に蓄積しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
水分変動増大環境下の土壌有機物分解の解明に迫る試料分析や追加実験を計画・実施するとともに、得られた成果の論文化を進める。
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