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2022 Fiscal Year Annual Research Report

新規さし木手法がもたらすさし木発根誘導シグナルの特定

Research Project

Project/Area Number 21H02237
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

渡辺 敦史  九州大学, 農学研究院, 教授 (10360471)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 栗田 学  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (40370829)
福田 有樹  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 研究員 (50781621)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords不定根 / 水ポテンシャル / オーキシン受容体遺伝子 / 酸素
Outline of Annual Research Achievements

エア挿しにおける不定根誘導シグナルの特定に向けて、最も重要となるオーキシン受容体遺伝子の単離を試みた。次世代シーケンスの結果に基づいて5つのオーキシン受容体候補遺伝子が同定された。次に、実際に通常挿し木を行い、オーキシンが合成され、極性輸送すると考えられている頂端部位および不定根が誘導されると考えられる軸部位、それぞれを時系列に従って採取した。4週目に採取した組織をもとにRNAを単離し、5候補遺伝子のPCR増幅したところ、オーキシン受容体遺伝子に基づいて作成されていた系統樹上で同一クラスターを形成していた3遺伝子は増幅され、残る2遺伝子は増幅されなかった。さらにスクリーニングを行うため、さしつけ後2・4・6・10週経過した頂端および軸部位からそれぞれRNAを単離し、リアルタイムPCRを行なった。その結果、頂端部位は候補とした3遺伝子の発現が10週目に増大しており、これは不定根が誘導された後の反応であることが明らかとなった。一方、軸部位では、3つのうち1遺伝子が2週目に発現が急増することが明らかとなった。さらに、段階的に遮光することで発根を制限できることが明らかとなっていたことから、明暗3段階を設定した結果、この遺伝子は明暗に伴って発現が変化していた。従って、2週目に遺伝子発現が急増した1遺伝子が不定根誘導と関係するオーキシン関連遺伝子である可能性が示唆された。
不定根誘導が水ポテンシャルをシグナルとする仮説に対して、穂に水との接触を遮断するワセリンを塗布した結果、ワセリンが塗布された部位からは発根が認められなかった。さらに、水挿しを深さ別に行なった結果、さしつけに土を利用した場合には深さに応じて不定根が誘導されたのに対し、水挿しでは、深さに応じた不定根誘導は認められず、水面近くのみで不定根が認められた。このため、酸素も不定根誘導に重要である可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1.不定根誘導に最も強く影響するオーキシン受容体遺伝子の有力な候補が単離された。このオーキシン受容体候補遺伝子は、様々な処理において発現マーカー遺伝子として活用できると考えられる。ただし、頂端部位で生成されたオーキシンが誘導され極性輸送されるとする従来の説に対して見直しが必要である結果が得られた。
2.エア挿しおよび通常の土挿しでの時系列に従った遺伝子発現を次世代シーケンスによって行なった結果、両者の区別は明確ではなく、エア挿しでも通常の不定根誘導と同じ反応巣をする可能性が示唆された。従って、エア挿しでも通常挿し木と同様の不定根誘導に関係する何らかのシグナルが作用している可能性が示唆された。
3.通常のエア挿しでは、ワセリン塗布することで不定根誘導を制限できることが示唆され、水ポテンシャルが最も有力なシグナルであることが示唆された一方で、酸素の存在が不定根誘導に必須である可能性が示唆された。傷・水・酸素それぞれのシグナルとしての順位は現時点で不明であるものの、傷が不定根誘導で最も重要なシグナルとする従来の仮説は見直す必要性がある。

Strategy for Future Research Activity

1.現在有力視されるオーキシン受容体候補遺伝子について、さらにその可能性を明らかにするため複数クローンで時系列をさらに詳細に設定してその可能性を検討する。
2.水ポテンシャルが不定根誘導シグナルの最も重要であることを確認するため、高分子吸収ポリマーなどを利用したエア挿しを行う。
3.これとは別に実際に植栽された根が土壌水分に従って側根形成している可能性が示唆されたことから、人為的処理により土壌水分を変化させて側根形成との関係性を明らかにする。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] スギ不定根形成対する光量の影響2022

    • Author(s)
      村田淳之介・栗田学・田村美帆・渡辺敦史
    • Organizer
      森林遺伝育種学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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