2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02259
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
金子 哲 琉球大学, 農学部, 教授 (90343821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 圭日子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80345181)
中村 彰彦 静岡大学, 農学部, 准教授 (20752968)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | バイオマス / リグノセルロース / ヘミセルロース / ヘミセルラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
自然界における初期のバイオマス分解に関わる酵素を網羅的に解析するため、解読したイナワラを溶解させる能力を持つ放線菌のゲノム遺伝子配列からヘミセルロース分解に関わると予想された酵素遺伝子を網羅的にピックアップした。また、主要なヘミセルロースであるキシランの分解に関わる酵素であるキシラナーゼについては、すでにGH10とGH11の発現酵素が得られているため、バイオマスの分解性を評価した。これらGH10、GH11酵素については、立体構造も解析されていることから、顕微鏡観察のための蛍光ラベルを入れるために活性中心に関係しない部位にシステインを導入した変異体酵素、A164C(GH10), S64C(GH11)をそれぞれデザインした。また、サトウキビを材料として一分子観察が行えるか、既存の修飾酵素を用いてテストしたところ、バックグラウンドはあるもののAlexa647修飾酵素の1分子蛍光シグナルは観測することができた。ただし、試料の厚みがあるため1分子蛍光の焦点と明視野焦点がずれてしまうことや、試料が薄い場合は細胞構造が崩れてしまっているなど試料調製の問題や、酵素の非特異的吸着をどのように抑えるかが今後解決すべき問題として考えられた。 後期のバイオマス分解に関わる酵素の網羅的解析に向けては、バイオマスを炭素源として担子菌を培養し、発現される酵素を観察し、バイオマス分解に重要と考えられる酵素を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス蔓延により、出張が制限され、共同研究者と予定していた顕微鏡観察の実験を実行できなかったことが挙げられる。そのため、予算も繰り越すことになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
イナワラを溶解させる能力を持つ放線菌のゲノム遺伝子配列から見出されたヘミセルロース分解に関わると予想された酵素遺伝子を発現させ、酵素特性やシナジー効果を解析する。また、立体構造を解明(または予測)し、活性に影響が出ない部位にシステインを導入した酵素を構築し、蛍光ラベル可能にする。顕微鏡観察のためデザインしたA164C(GH10), S64C(GH11)をそれぞれ発現させ、活性が失われていないか確認し、一分子観察を試みる。また試料調製も工夫する。担子菌由来の酵素を調製し、放線菌酵素とのシナジーを解析する。
|