2021 Fiscal Year Annual Research Report
マグロの雌雄を決定する遺伝子およびその作用機序の解明
Project/Area Number |
21H02275
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
中村 洋路 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (90463182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳本 卓 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (30443386)
相馬 智史 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 研究員 (80758657)
林田 貴雄 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 研究員 (40828456)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マグロ / 性決定 / ステロイド代謝 / 遺伝子重複 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロマグロの性決定候補遺伝子であるsult1st6yおよびそのパラログであるsult1st6aを選択的に増幅するプライマーを作成し、クロマグロ未成魚の各組織を収集してRT-PCR解析を実施した。その結果、sult1st6aは雌雄両方の生殖腺で発現が見られた一方で、sult1st6yは生殖腺で雄特異的に発現していることを発見した。さらに、予備的な解析結果として標的遺伝子を発現する細胞は生殖腺細胞のごく一部であることが示唆された。また、脾臓においてもsult1st6yの雄特異的な発現が見られた。これらの結果に基づき、クロマグロの生殖腺形成期から性分化期(生後10-80日齢)の生殖腺および脾臓組織を追加解析のために収集した。さらに、クロマグロ雌雄の生殖腺のRNA-seq解析を実施し、sult1st6yおよびsult1st6aの発現パターンに関して上記のRT-PCRと同様の傾向を確認するとともに、このRNA-seqの配列データを用いて、非翻訳領域も含めたsult1st6yおよびsult1st6aのエクソン-イントロン構造を決定した。これらと並行して、サバ科魚類のゲノム配列情報を国際塩基配列データベースより収集し、標的遺伝子のホモログおよびその近傍の配列領域を収集した。得られた配列情報に基づいてキハダ、メバチ、マサバ等9種において標的遺伝子のホモログのダイレクトシーケンシングを行い、部分的に塩基配列を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クロマグロの生殖腺における標的遺伝子の発現解析を進めていたところ、当初の予想を超える結果として標的遺伝子を発現する細胞は生殖腺細胞のごく一部であることが示唆された。この結果をうけて、シングルセル解析を追加で実施する必要があると判断し、研究計画の修正に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
標的遺伝子の発現解析において予期しない結果を得たことで進捗に遅れが生じたが、このことは本研究での作業仮説をより興味深いものにする知見であり、この成果を当初の研究計画に組み込みながら柔軟に研究を進めていく方針である。
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