2022 Fiscal Year Annual Research Report
貝殻と閉殻筋の接着面に生じる光輝層の形成におけるパラミオシンの役割に関する研究
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21H02284
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
舩原 大輔 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (00335150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道生 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (10647655)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光輝層 / パラミオシン / アコヤガイ / 炭酸カルシウム結晶 / 閉殻筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
二枚貝では閉殻筋(貝柱)と貝殻が強固に接着している。貝殻は炭酸カルシウムの結晶で形成されているが、閉殻筋との接着面では光輝層と呼ばれる結晶構造が形成される。光輝層では炭酸カルシウムが柱状になっている。光輝層形成のメカニズムは明らかとなっていないが、これまでの研究で、光輝層には筋タンパク質の1つであるパラミオシンが含まれていること、パラミオシンが柱状の炭酸カルシウム結晶の形成を促進する可能性が示されたことから、本研究では、パラミオシンが光輝層の形成への関与について解析することを目的とした。昨年度に行った蛍光免疫染色法によるアコヤガイ真珠層におけるパラミオシンの分布解析によって、真珠層においてパラミオシンの分布に偏りがある可能性がわかった。そこで本年度は、免疫染色した貝殻切片について昨年度購入した走査型顕微鏡を用いて観察し、パラミオシンの詳細な分布を解析した。一次抗体として抗アコヤガイ・パラミオシン抗体、二次抗体として金コロイド標識抗体を用いてアコヤガイ貝殻切片を反応させた後、銀増感反応させた。走査型顕微鏡で観察したところ、光輝層周辺にシグナルが検出されパラミオシンが分布していると考えられた。また光輝層以外にもシグナルが確認されたことから、真珠層全体にパラミオシンが存在することが示唆された。また真珠の真珠層についても同様の解析を行い、真珠真珠層にもパラミオシンが存在する可能性が示された。真珠層の構造を精密に解析する課程で、フィラメント上の構造体が見つかったため、その構造体について解析を行ったところ、アマノリ類糸状体であることがわかった。これは本研究の目的を達成する工程で、副次的な成果として得られたものである。来年度は、生化学的手法を用いて真珠層におけるパラミオシンの分布を解析するとともに、パラミオシン存在下で炭酸カルシウム結晶化実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた実験を実施することができ、順調に結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に整備した電子顕微鏡を用いて予定通り研究を遂行する。
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