2022 Fiscal Year Annual Research Report
サブサハラ・アフリカにおける即時的稲品種育成とその普及に関する実証研究
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21H02290
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 浩敬 東京農業大学, 農学部, 教授 (50451901)
貴島 祐治 北海道大学, 農学研究院, 教授 (60192556)
福田 善通 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 企画連携部, 再雇用職員 (40399374)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 葯培養 / 稲品種 / サブサハラアフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
キタカオリとSupaの交雑によって育成した系統からの倍加半数体をの統選抜試験、ならびに、栽培試験を継続し、農家に配布するDH系統を絞り込んだ。農家の作付品種の評価基準について、ザンビア共和国の農家からの聞き取り調査を実施した結果、早生系統、アロマ系統を嗜好する傾向が強い。近代品種の普及は進んでいるとはいえず、ほとんどの農家は伝統品種であるSupaを栽培していた。アジアにおける稲作の緑の革命は、基本的には肥料反応性の高い高収量の近代品種が広く普及したのとは対照的である。稲作の技術水準について見てみると、稲作の経験年数が浅く、湿地帯での栽培技術は未確立であると評価される。ほとんどの農家において灌漑の利用は皆無に等しく、天水稲作が大層を占めている。肥料を投入している農家、除草を実施している農家はいずれも少数派である。このように散播、条播、田植え、除草、肥料・農薬の投入などの技術採用は農家間で大きな違いが認められた。ザンビアの稲作は、集約度が低く、水稲単収は1ヘクタール当たり1~1.5トン 程度で停滞しており、生産量の伸びは、単収の向上よりもむしろ収穫面積の拡大に依存している。食味に対しての優先度は低く、品種の管理が徹底されておらず、精米技術も低いことが明らかになった。また、稲作とトウモロコシ栽培との労働力競合が見られるなど、作物間の組み合わせも稲作の導入に影響を及ぼしている。農家による品種のトライアル試験に向けて、播種、収量調査に関して現地カウンターパートや農業改良普及員と議論し農家の稲栽培のプロトコルを作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
DH系統の絞り込みに時間を要していること、農家に配付する稲種子増殖が十分でないこと、稲作農家はリーモートエリアに集中していることから、農家による稲品種の試験栽培のデータを収集する体制を整える必要がある。また、ザンビア国内おける稲作の栽培技術体系は州によって多様であり、農家による稲栽培試験のプロトコルもこれに対応する必要が出てきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
農家の品種選択や農家の稲作技術についてデータの収集に努め定量的な分析を進める。実際に農家に種子を配付して農家の稲品種栽培試験のプロトコルを検証すると共に農家の品種特性に対する選好を分析する。
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