2021 Fiscal Year Annual Research Report
日本農業・農村の20年-長期パネルデータと疑似実験デザインによるアプローチ-
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21H02296
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤栄 剛 明治大学, 農学部, 専任教授 (40356316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙田 徹志 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (00325325)
中谷 朋昭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60280864)
堀江 哲也 上智大学, 経済学部, 教授 (40634332)
庄司 匡宏 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20555289)
中嶋 晋作 明治大学, 農学部, 専任准教授 (00569494)
高橋 大輔 拓殖大学, 政経学部, 教授 (30619812)
高山 太輔 福島大学, 食農学類, 准教授 (50612743)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パネルデータ / 疑似実験デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、各研究者が日本農業・農村に関わる多様かつ重要な課題について、「農林業センサス」をはじめとする個票パネルデータを用いて、分析に取り組んだ。中山間地域直接支払制度、集落営農による農地集積の成立条件等をはじめとする本研究課題の成果の一部を図書として取りまとめ、2022年1月に発刊した。また、関連学会における発表や学術雑誌への掲載を通じて、成果を公表した。本年度得られた主な成果は、次のとおりである。 第1に、公的統計の二次的利用をめぐる動向を整理し、行政記録情報の活用、公的統計の組み換え集計結果の活用や個票データのリンクコードの普及が課題として存在することを示した。 第2に、『集落営農実態調査』等と『農林業センサス』個票データのマッチングを通じて、集落営農を通じた農地の集団的利用が行われる条件を検討し、基盤整備率や集落機能の水準と農地の集団的利用の間に正の相関関係があることが確認され、集落内の社会関係が集落営農における集団的農地利用に貢献するという先行研究の知見を大規模データによって裏付けた。 第3に、中山間地域等直接支払制度が農地利用にもたらした影響について、個票パネルデータを用いて差の差法によって検討し、当該制度が農家レベルの耕作放棄地増加や経営耕地面積縮小の抑制効果を有したことを明らかにした。 第4に、北海道の水田・畑作経営を対象に、農業補助金が農業構造に及ぼした影響を検討した。そして、農業補助金の地代化の程度は低く、農業構造への影響は小さいことなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
図書としてまとまった形で主な研究成果を公表することができたことから、上記の進捗状況とした。ただし、コロナ禍のため、調査の一部に進捗の遅れがみられた。こうしたことから、今後の進捗管理に注意を払うとともに、必要に応じて研究期間の延長なども検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においても、本年度と同様に、各研究者が日本農業・農村に関わる多様かつ重要な課題について、「農林業センサス」をはじめとする個票パネルデータを用いて分析に取り組み、関連学会ならびに学術雑誌でその成果を公表する。とりわけ、効率性の把握を通じた家族経営の強靱性に関する検討や自然実験の状況を活用した農産物認証制度の効果把握に加えて、気象データと個票パネルデータの接続を通じて、気候変動に対する農家の適応メカニズムを検討する。
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Research Products
(13 results)