2022 Fiscal Year Annual Research Report
Smart paddy water management based on simulation of ponded water and soil temperature variation in paddy fields
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21H02309
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
木村 匡臣 近畿大学, 農学部, 講師 (80725664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 裕 近畿大学, 農学部, 教授 (50340766)
皆川 裕樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (70527019)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スマート農業 / 田面水温 / 水田用IoT水門 / 高温障害対策 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田用IoT水門を設置した調査対象水田圃場において、水門開閉の操作と、田面水温・地温分布等の温度環境の変化を計測し、モデル検証のためのデータを収集した。日射、気温、湿度、風速等の基礎的な気象データを観測するとともに、IoT水門の開度データおよび用水路水位から水田内への取水流量を換算し、自記式水位・温度計にて水田内の湛水深、田面水温・地温の分布を連続測定するほか、プラント・キャノピー・アナライザーを用いて定期的に葉面積指数(LAI)の計測を実施した。 田面水の平面2次元流シミュレーションについては、稲株の周囲を流れる田面水の流れ場を計算可能な流体解析シミュレーションモデルを、微細計算格子に基づく有限体積法を用いて構築し、任意の湛水深、流速、稲株の太さ、稲株配置の間隔に応じて計算を行うことにより、さまざまな条件下における稲株群による流れへの抵抗をモデル化した。この結果を用いて、田面水が水田内のどの場所をどの程度の速度で流れるかをシミュレートする、田面水の平面2次元流数値計算モデルを構築した。 水田内の熱収支シミュレーションについては、物理則に基づく既存のアプローチのほか、機械学習(LSTM: Long Short-Term Memory)を適用した手法、物理則と機械学習を融合した手法(PGNN: Physics-Guided Neural Networks)についてもモデルを構築し、それらの性能を比較検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に計画していた現地観測、田面水の平面2次元流数値計算モデルの構築、機械学習を組み込んだ水田内の熱収支シミュレーションモデルの構築は、いずれも良好に進展しており、本研究課題の目標はおおむね順調に達成されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現地観測については、水田用IoT水門を設置した調査対象水田圃場における観測を継続して実施し、水門開閉操作と、田面水温・地温分布等の温度環境変化のデータを収集する。シミュレーションモデルについては、田面水の平面2次元流数値計算モデルと大気-植生群落-田面水-地中の熱移動を組み込んだ熱収支モデルを統合することにより、湛水深および気象データを入力データとし、田面水温および地温の空間分布を出力するアルゴリズムを構築する。その後、開発した水田内の地温・水温分布のシミュレーションモデルを用いて水田内の地温・水温分布の短期予測結果を出力し、その結果を踏まえたIoT水門の開閉操作アルゴリズムを検討する。以上により、スマート水田水管理技術による水田内の温度調節機能のポテンシャルの評価を目指す。
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