2021 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of multi-scale crop yield prediction using data assimilation technology
Project/Area Number |
21H02314
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
辰己 賢一 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40505781)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本林 隆 東京農工大学, 農学部, 教授 (20262230)
桂 圭佑 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20432338)
斎藤 広隆 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70447514)
山下 恵 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70523596)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | データ同化技術 / 作物生長モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,最適な営農ポリシーの導出,単収の増加,農作業の省力化を実現する上で必要不可欠である作物の生長およびバイオマス・収量の精密な予測技術の確立のため,データ同化技術を用いたトマトの収量予測技術の改善と精度向上を目指すことを目的としている.目的達成のための具体的な研究実施項目は,1) 野外圃場における栽培実験・生育調査,2)統合型作物モデルの開発,3) 1)と2)の組み合わせたデータ同化システムの構築,4) モデルパラメータ・変数の不確実性低減と作物バイオマスの再現・予測精度に立脚したデータ同化の効果検証である. 2021年度は野外実験圃場においてトマトの生育調査および統合型作物モデルの開発を主に実施した.栽培実験・生育調査では,トマトの地上部バイオマス,器官別の乾物重,LAI,葉窒素濃度,土中水分量を1週間に1回の頻度で時系列測定を実施した.また,収穫時には収量調査を実施した.さらに,UAVを用いたRGBやマルチスペクトル画像を取得した.次に土中水分・溶質・熱移動解析プログラムHYDRUSに研究代表者が開発を続けてきた群落光合成モデルを統合した統合型作物生長モデルの開発を進め,個体レベルに加えて,圃場レベルでも収量再現・予測に適用できることを確認した.本研究の結果,統合型作物生長モデルは,これまでのモデルと比較して,作物の生長に加え,土壌中の物理量を適切に再現できることが明らかになった.このことは,地下部のモデル表現の強化につながるだけでなく,農家の意思決定支援モデルとしての援用可能性を高める可能性がある重要な結果である.得られた成果は国内学会で報告し,また統合モデル開発に関する研究については,現在英文誌への投稿準備中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したが,2021年度は野外実験圃場においてトマトの生育調査,UAV計測による状態変数の推定を実施し,さらに土中水分・溶質・熱移動解析プログラムHYDRUSと研究代表者の群落光合成モデルの統合を進めてきた.当初の計画通り,野外圃場での生育調査とUAVによる状態変数の推定作業を進めてきたが,人工衛星による圃場における変数の推定までは実施できなかった.また,研究計画ではトマトに加えて小麦の生育調査も実施予定としていたが,生育調査に従事可能な人員の確保が十分にできる見通しがたたなくなったため,トマトのみの生育調査となってしまった.しかしながら,① 野外圃場でのトマトのLAI,葉窒素濃度,体積含水率の実測および地上部・地下部のバイオマス・収量の測定,② UAV計測によるLAI,葉窒素濃度,体積含水率の推定を着実に遂行でき,③ 統合型作物生長モデルの開発に着手することができたため,全体としておおむね順調に進展したと判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,統合型作物モデルの開発に関する成果をまとめて英文誌に投稿する.さらに,引き続きトマトの生育調査を実施し,複数年度の生育に関する実測データを用いて, 1)統合型作物生長モデルと融合粒子フィルタの融合,2)野外圃場での実測およびUAV計測で得られた結果に基づくデータ同化効果の検証・評価をそれぞれ実施する.特に,データ同化モデルの開発・検証・評価に時間を十分に割いて,直接観測できない値の推論を可能にする汎用性の高いモデルの構築を目指したい.
|
Research Products
(11 results)