2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quality control of postharvest fruits and vegetables by entraining or disturbing the biological clock
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21H02317
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒木 信一郎 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (00420505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 博通 神戸大学, 農学研究科, 教授 (00258063)
中野 浩平 岐阜大学, 大学院連合農学研究科, 教授 (20303513)
福田 弘和 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90405358)
五月女 格 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90469833)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴 / 緩和時間 / 水透過性 / タイムラプスハイパースペクトル画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大気条件下で貯蔵したホウレンソウ葉について、タイムラプス分光画像の収集、膜機能劣化の定量、1~3次機能成分の分析を実施した。分光画像データの主成分解析の結果、第2主成分のスコアに鮮度劣化との関係があり、4℃貯蔵では当該スコアの変化が小さいのに対して、20℃貯蔵では収穫後の時間経過と共にスコアが増大することが示された。主成分ローディングの観察から、700 nm付近が第2主成分スコアの算出に支配的な影響力を持つことが明らかとなった。また、核磁気共鳴縦緩和時間(T1)の測定の結果、観測されるT1はプロトプラスト単離からの時間経過に伴いシグモイド型で増加することが明らかとなり、単離後のダメージの進行と高精度のT1測定とはトレードオフの関係になることが分かった。さらに、二層流法による細胞膜水伝導係数(Lp)の測定の結果、プロトプラスト単離精製時における遠心強度の増加がLpを増大させること、浸透圧ストレス履歴によってもLpが変動すること、およびそれらによるLpの変化は膜を介した水移動の方向や収穫後の経過日数によっても異なることが明らかとなった。これらの結果は、プロトプラストの単離操作が膜物性の計測値にもたらす効果が試料の鮮度状態によって異なることを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
総ポリフェノール、抗酸化能(H-ORACおよびDPPHラジカル消去能)、マロンジアルデヒド当量などをマイクロプレートリーダーを用いて定量する系が確立され、一連の酸化ストレスマーカーの計測データの収集が進み、膜機能劣化と相関を持つ1~3次機能成分が同定されつつあると評価される。また、NMR装置を東京大学から神戸大学に移管したことにより、性能も劣る神戸大学の共用施設のNMR装置を使用する必要がなくなった。さらに、分光画像計測システムにおいて、暗黒条件下に貯蔵しながら、撮影時のみに、カメラの受光波長範囲のみの光を任意のタイミングで与えられる照明系を開発した。他方、コロナ禍における半導体不足や物流混乱により、申請備品である分光カメラの納品が年明けになったことや均質照明を実現するレンズの材料入手および加工が困難であったことなどから、撮影系の全自動化は完成しなかった。以上を総合すると、本研究課題はおおむね順調に進展していると自己評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、温度およびガス環境を変化させる環境での貯蔵試験を実施して、鮮度状態が段階的に異なる青果物試料を作出し、収穫後における細胞膜機能劣化を定量すると共に、目減り(水分損失)、および1~3次機能成分をGC、HPLC、マイクロプレートリーダーを用いて定量する。膜機能劣化の定量に関して、細胞膜拡散透水係数を核磁気共鳴横緩和時間および自己拡散係数測定法によって測定すると共に、最大エントロピー法、あるいは逆ラプラス変換を用いてそれら物性値の連続的な分布を解析する。また、共同研究者らと連携して、アクアポリンおよび時計関連遺伝子のmRNA発現量測定の効率化を図り、高頻度のデータを収集する。さらに、カメラの開発メーカーの提供するAPI関数の実装により、画像計測を完全自動化する統合ソフトウェアを開発する。これらの実現により、タイムラプスハイパースペクトル画像の収集と機械学習による解析を行い、品質劣化と体内時計の同調性、およびその分光学的解釈について議論する。
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Research Products
(7 results)