2022 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリの口腔内アミノ酸センサーの同定とそれらを介した食行動調節機構の解明
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21H02338
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川端 二功 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40633342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 悠太 茨城大学, 農学部, 助教 (00875023)
川端 由子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40906830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニワトリ / 味覚 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ酸はニワトリの成長や健康を左右する最も重要な栄養素の一つである。近年、ニワトリは味蕾を介して様々な味を感じ、味質に応じた食行動を起こすことが明らかになってきたが、口腔組織でアミノ酸を感知する味覚受容体(センサー)はあまり明らかになっていない。さらに、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の中でどのアミノ酸がニワトリに「味」として認識されているかも未解明な部分が多い。本研究では、申請者が培ってきたニワトリ味覚研究の手法を用い、ニワトリにおける口腔内アミノ酸センサーの同定を進めると同時に、センサーを活性化するアミノ酸がニワトリにどのような食行動を引き起こすのかについても明らかにする。これらの知見は口腔内アミノ酸センサーをターゲットにしたニワトリの食行動制御技術の確立に繋がることから、飼料費が最大の生産コストとなっている家禽産業に直接貢献するとともに、味覚生理学や進化生物学の分野にも有益な情報をもたらす。 今年度の研究により、ニワトリ口腔組織に発現するカルシウム感知受容体(CaSR)のカルシウムイオンによる活性化がL-フェニルアラニン、L-トリプトファン、L-アラニンによって増強されることがわかった。したがって、これらのアミノ酸は口腔組織でニワトリCaSRに作用していると推察された。また、20種のアミノ酸に対する味覚嫌悪学習試験をニワトリで実施したところ、これまでわかっていたL-アラニン、L-セリン、およびL-プロリンに加え、L-バリン、L-ヒスチジン、L-リジンでも味覚嫌悪学習が成立することがわかった。したがって、これらのアミノ酸はニワトリにおいて味の感覚もたらすアミノ酸であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究により、ニワトリ口腔組織に発現しているCaSRが数種のアミノ酸により活性増強される受容体であることが示された。また、各種アミノ酸を用いた味覚嫌悪学習試験も順調に進み、いくつかのアミノ酸で学習が成立することが明らかとなった。いずれも予定通りの進み具合であり、総合的に考えるとおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
生体を構成する全てのアミノ酸の味覚嫌悪学習試験が終了したので、今後は味として認識されているアミノ酸について嗜好性試験を行い嗜好性の程度を確認していく。また、CaSRはカルシウムとアミノ酸の両方の受容に関わっていることから、嗜好性においてカルシウムとアミノ酸とに相乗効果等の関連があるか行動試験で検証する。これらの研究により、ニワトリがどのようにアミノ酸を味わっているのかが明らかになっていくと考えている。さらにはカルシウムやアミノ酸の味覚受容において、哺乳類のモデル動物であるマウス、ならびにヒトが感じる味覚との比較も行う。
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Research Products
(4 results)