2021 Fiscal Year Annual Research Report
Have East native cattle received genetic introgression from wild cattle? -evaluation of the genetic structure and propagation route-
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21H02343
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
万年 英之 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20263395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 芙岐 神戸大学, 農学研究科, 助教 (00879968)
笹崎 晋史 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50457115)
米澤 隆弘 東京農業大学, 農学部, 准教授 (90508566)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家畜ウシ / 北方系ウシ / ミトゲノム / 伝播 / 多様性 / 和牛 / ハプログループ / T4 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、ユーラシア大陸を網羅する北方系家畜ウシ集団に対し、遺伝様式が異なるmtDNA解析、高密度SNPアレイ解析、全ゲノムリシーケンスなどによるビックデータを用いた網羅的な遺伝構造解析を実施し、その遺伝子流入、遺伝構造、起源、伝播経路などを包括的に明らかにする。その成果を通して、東アジア家畜ウシの遺伝資源保護・開発につなげ、次世代畜産分野に対する学術的知見および基礎情報を得ることを目的とする。 家畜ウシのハプログループT4は東アジア地域で特異的に観察され、特に和牛品種ではこのハプログループT4が他の東アジア地域に比べ、高頻度で観察されている。そこで本課題では、和牛品種として日本短角種と黒毛和種におけるハプログループT4のミトゲノム配列決定をすることで、ハプログループT4の系統解析や分岐年代の推定を行い、ハプログループT4の分岐・成立過程を明らかにすることを目的とした。また高密度SNPアレイを用いた解析を、和牛4品種およびアジア品種、西洋品種の遺伝子型データを得て様々な遺伝的解析を実施した。 ミトゲノム解析の結果、和牛品種は韓牛と同じクラスターに含まれ、先行研究と同様にハプログループT4はサブハプログループT3aから分岐したものであることが明らかとなった。分岐年代推定より、ハプログループT4は家畜化中心地である西アジアの肥沃な三日月地帯からシルクロードの内、温暖な環境で水が豊富に存在するオアシスの道を経て、東のアジアへと伝播する過程において生じたハプログループであると考えられた。高密度SNPアレイを用いた解析では、和牛の多様性が他の海外品種と比較して全体的に低い傾向が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本短角種8個体と黒毛和種2個体に対してミトゲノム配列決定を行った結果、ハプログループT4は10ハプロタイプ観察され、データベースから得た105個体のミトゲノム配列を用いて、ML系統樹の作成を行ったところ、和牛品種は韓牛と同じクラスターに含まれ、先行研究と同様にハプログループT4はサブハプログループT3aから分岐したものであることが明らかとなった。 分岐年代推定より、ハプログループT4を含むクラスターは2,480年前~6,970年前に分岐したと推定された。本研究で推定した分岐年代の結果と歴史的背景より、ハプログループT4は家畜化中心地である西アジアの肥沃な三日月地帯からシルクロードの内、温暖な環境で水が豊富に存在するオアシスの道を経て、東のアジアへと伝播する過程において生じたハプログループであると考えられた。 高密度SNPアレイを用いた解析では、黒毛和種48頭、土佐褐毛和種42頭、肥後褐毛和種48頭、無角和種48頭、日本短角種48頭を供試し、Illumina BovineSNP50 Beadchipを用いて遺伝子型判定を行った。また先行研究より、同SNPチップを用いて遺伝子型判定されたアンガス20頭、シンメンタール20頭、韓牛8頭、ショートホーン17頭、エアシャー18頭、ブラウンスイス12頭、デボン4頭の遺伝子型データを得た。各品種の多様性指数から、和牛の多様性が他の海外品種と比較して全体的に低い傾向が示された。今回算出された多様性指数は、近年和牛において懸念される遺伝的多様性の減少が反映された結果であると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はアジア在来ウシに対するミトゲノム解析と高密度SNPアレイ解析を中心二階席を実施する予定である。 ① 東アジア特異的ハプログループT4とT3cの全mtDNA配列(ミトゲノム)解析 T4やPは東アジアで特異的に観察されるハプログループであり、特に和牛品種において高頻度で観察される。加えてT3cというハプログループが東アジア特異的なハプログループであることも最近の研究で分かってきた。そこで本研究では東アジア家畜ウシに対してT4とT3cのミトゲノム配列を用い、最新解析手法を用いた系統解析や分岐年代の推定を行う。加えて、東アジアにおけるT4やT3cの地理系統学的調査を行い集団動態の推定を行う。その結果から、母系遺伝における伝播経路や起源、成立過程を明らかにする。 ② 高密度SNPアレイを用いた北方系ウシの遺伝構造解析 ユーラシア大陸を包括した家畜ウシの遺伝構造解析はこれまでなく、その遺伝構造に関する知見は少なかった。一方、近年の論文の増加に伴い、東アジア在来ウシのデータも利用できるようになった。したがって、本研究では我国の和牛4品種に対して高密度SNPアレイ解析を実施し、得られたゲノムワイドな情報から、MDS解析、STRUCTURE解析により遺伝構造、伝播経路、遺伝子流入などを推定する。
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Research Products
(6 results)